海外文学読書録

書評と感想

★★★★☆

川島雄三『銀座二十四帖』(1955/日)

銀座二十四帖 月丘夢路 Amazon ★★★★ 京極和歌子(月丘夢路)は少女時代に奉天で流浪の学生に肖像画を描いてもらっていた。彼の記憶はおぼろげで、肖像画にはGMと署名してある。和歌子はGMと再会したがっていた。一方、花屋のコニイ(三橋達也)はその件につ…

サマセット・モーム『片隅の人生』(1932)

片隅の人生 (ちくま文庫) 作者:W.サマセット モーム 筑摩書房 Amazon ★★★★ 眼科のサンダース医師は福州の中国人に人気があった。その彼が中国人富豪の手術のためマレー半島のタカナ島に赴く。手術は成功し、島で退屈していたところ、ニコルズ船長とフレッド…

新海誠『君の名は。』(2016/日)

君の名は。 神木隆之介 Amazon ★★★★ 17歳の男子高校生・立花瀧(神木隆之介)は東京の四ツ谷で暮らしていた。一方、17歳の女子高校生・宮水三葉(上白石萌音)は飛騨地方の糸守町で暮らしている。そんな2人がどういう因果かたびたび入れ替わることに。当初は…

樋口真嗣『シン・ウルトラマン』(2022/日)

シン・ウルトラマン 斎藤工 Amazon ★★★★ 日本では「禍威獣(カイジュウ)」という巨大生物が出現して各所を荒らし回っていた。政府は禍特対(カトクタイ)を設立して対策に当たる。ある日、何番目かの禍威獣が現れたとき、謎の巨人がそれを倒して飛び去った…

マルキ・ド・サド『恋のかけひき』

恋のかけひき (角川文庫) 作者:マルキ・ド・サド,澁澤 龍彦 KADOKAWA Amazon ★★★★ 日本オリジナル編集の短編集。「ファクスランジュ あるいは 野心の扉」、「ロドリグ あるいは 呪縛の塔」、「オーギュスティヌ・ドヴィルブランシュ あるいは 恋のかけひき」…

小津安二郎『東京物語』(1953/日)

東京物語 笠智衆 Amazon ★★★★ 周吉(笠智衆)ととみ(東山千栄子)の老夫婦が尾道から上京してくる。町医者で長男の幸一(山村聡)、さらに美容院を経営する長女の志げ(杉村春子)の家を訪れるも、どちらも忙しくて十分もてなすことができない。そんななか…

岩井澤健治『音楽』(2020/日)

音楽 坂本慎太郎 Amazon ★★★★ 高校生の研二(坂本慎太郎)は、同じ学校の太田(前野朋哉)や朝倉(芹澤興人)とつるんで不良をしていた。3人の友人に亜矢(駒井蓮)がいる。研二・太田・朝倉の3人はひょんなことからバンドを組むことに。ところが、編成はベ…

フランツ・カフカ『城』(1926)

城 (角川文庫) 作者:フランツ・カフカ,原田 義人 KADOKAWA Amazon ★★★★ 晩遅く、測量技師のKが雪深い村に到着する。その村は城の領地で、伯爵の許可なしに住んだり泊まったりすることはできなかった。Kは2人の助手を押し付けられ、酒場の女中といい仲になる…

フランツ・カフカ『アメリカ』(1927)

アメリカ (角川文庫) 作者:フランツ・カフカ,中井 正文 KADOKAWA Amazon ★★★★ 16歳でドイツからアメリカに追放されたカール・ロスマンは、ニューヨーク港で火夫の抗議に協力した後、伯父で上院議員のヤーコブに引き取られる。ヤーコブは仲介業を営む富裕層だ…

ロマン・ポランスキー『水の中のナイフ』(1962/ポーランド)

水の中のナイフ(字幕版) レオン・ニェムチック Amazon ★★★★ アンジェイ(レオン・ニェムチック)とクリスティーナ(ヨランタ・ウメッカ)は裕福な夫婦。アンジェイが車を運転していると、前方に若者(ジグムント・マラノウッツ)が飛び出してきた。若者はヒ…

カレル・チャペック『白い病』(1937)

白い病 (岩波文庫) 作者:カレル チャペック 岩波書店 Amazon ★★★★ ヨーロッパで〈白い病〉が流行した。この病気は中国発祥で、患者は体に白い斑点が出て生きながら腐敗していく。罹患するのは50歳前後。若い世代への感染はなかった。ある日、枢密顧問官ジー…

出崎統『あしたのジョー』『あしたのジョー2』(1970-1971,1980-1981)

第1話「あれが野獣の眼だ!」 あおい輝彦 Amazon ★★★★ 山谷のドヤ街に矢吹丈(あおい輝彦)という少年が現れる。矢吹は喧嘩が滅法強かった。元ボクサーの丹下段平(藤岡重慶)はその素質に惚れ込み、彼にボクシングをさせようとする。しかし、矢吹は令嬢・白…

大城立裕『カクテル・パーティー』(1967)

カクテル・パーティー (岩波現代文庫) 作者:大城 立裕 岩波書店 Amazon ★★★★ 短編集。「亀甲墓 実験方言をもつある風土記」、「棒兵隊」、「ニライカナイの街」、「カクテル・パーティー」、「戯曲 カクテル・パーティー」の5編。 「あそこに」孫氏が遠くを…

エドゥアルド・ハルフォン『ポーランドのボクサー』(2008,2010,2014)

ポーランドのボクサー (エクス・リブリス) 作者:エドゥアルド・ハルフォン 白水社 Amazon ★★★★ 日本オリジナル編集の短編集。「彼方の」、「トウェインしながら」、「エピストロフィー」、「テルアビブは竈のような暑さだった」、「白い煙」、「ポーランドの…

小津安二郎『麦秋』(1951/日)

麦秋 原節子 Amazon ★★★★ 鎌倉。間宮家の長女・紀子(原節子)は東京でOLをしている28歳の独身女性。彼女は実家暮らしをしていた。実家には、父・周吉(菅井一郎)、母・志げ(東山千栄子)、長男・康一(笠智衆)、その妻・史子(三宅邦子)、そして長男夫…

ジョルジュ・シムノン『ちびの聖者』(1965)

ちびの聖者 (シムノン本格小説選) 作者:ジョルジュ シムノン 河出書房新社 Amazon ★★★★ パリのムフタール通り。貧しい家に生まれたルイ・キュシャは、母と兄と姉と双子の5人と暮らしていた。母は市場で野菜を売っている。また、よく家に男を連れ込んでいた。…

ルキノ・ヴィスコンティ『家族の肖像』(1974/伊=仏)

家族の肖像 バート・ランカスター Amazon ★★★★ ローマ。教授(バート・ランカスター)がアパルトマンで絵画に囲まれながら隠居生活を送っていた。そこへ侯爵夫人のビアンカ(シルヴァーナ・マンガーノ)がやっきて上階を間借りしたいと申し出る。彼女は愛人…

片山慎三『さがす』(2022/日)

さがす 佐藤二朗 Amazon ★★★★ 日雇いの原田智(佐藤二朗)と中学生の娘・楓(伊東蒼)は大阪の下町で二人暮らし。ある日、智は300万の懸賞金の掛かった連続殺人犯を見かけたと楓に言う。その翌朝、智は忽然と姿を消すのだった。楓が日雇いの現場に行くと、父…

ジュゼッペ・デ・サンティス『にがい米』(1949/伊)

にがい米(字幕版) V.ガスマン Amazon ★★★★ 泥棒のワルター(ヴィットリオ・ガスマン)と情婦のフランチェスカ(ドリス・ダウリング)は首飾りを盗んで警察に追われていた。2人は一旦離ればなれになる。フランチェスカは水田地帯に出稼ぎに行く女性たちに紛…

リドリー・スコット『ブラックホーク・ダウン』(2001/米)

ブラックホーク・ダウン (字幕版) ジョシュ・ハートネット Amazon ★★★★ 1993年。内戦の続くソマリアに軍事介入していたアメリカ軍は、敵の高官を拉致するため、首都モガディシュに兵を向かわせる。レンジャーやデルタフォースで構成された約100名が、ブラッ…

ポン・ジュノ『パラサイト 半地下の家族』(2019/韓国)

パラサイト 半地下の家族(字幕版) ソン・ガンホ Amazon ★★★★ アパートの半地下に住む一家4人(父・母・息子・娘)は内職で生計を立てていた。そんななか、息子ギウ(チェ・ウシク)の元に家庭教師の話が舞い込んでくる。職場は高台の高級住宅地だった。やが…

ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q―吊された少女―』(2015)

特捜部Q―吊された少女― 特捜部Q 作者:ユッシ エーズラ オールスン 早川書房 Amazon ★★★★ コペンハーゲン警察。カール・マーク警部補の元にボーンホルム島の警官から連絡が来る。20年前に轢き逃げされた少女の再捜査をしてほしいと言う。カールがそれを断る…

サラ・ピンスカー『いずれすべては海の中に』(2019)

いずれすべては海の中に (竹書房文庫) 作者:サラ・ピンスカー 竹書房 Amazon ★★★★ 短編集。「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」、「そしてわれらは暗闇の中」、「記憶が戻る日」、「いずれすべては海の中に」、「彼女の低いハム音」、「死者との対話」、「時…

ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q―カルテ番号64―』(2010)

特捜部Q ―カルテ番号64― 作者:ユッシ エーズラ オールスン 早川書房 Amazon ★★★★ コペンハーゲン警察。カール・マーク警部補たちが失踪した娼館のマダムの事件を追っていると、同時期に4人失踪していることが判明する。彼らを糸口にして優生思想の政党党首…

角地拓大『くノ一ツバキの胸の内』(2022)

くノ一ツバキの胸の内 其の一(完全生産限定版) [Blu-ray] 夏吉ゆうこ Amazon ★★★★ 「あかね組」と呼ばれるくノ一の里は男子禁制だった。そこでは少女たちが集団生活をして学業や忍術修行に励んでいる。少女たちは男を見たことがなく、先生からは男を恐れるよ…

ルシア・ベルリン『すべての月、すべての年』(2015)

すべての月、すべての年 ルシア・ベルリン作品集 作者:ルシアベルリン 講談社 Amazon ★★★★ 短編集。「虎に噛まれて」、「エル・ティム」、「視点」、「緊急救命室ノート、一九七七年」、「失われた時」、「すべての月、すべての年」、「メリーナ」、「友人」…

トーマス・マン『ヴェネツィアに死す』(1912)

ヴェネツィアに死す (光文社古典新訳文庫) 作者:マン 光文社 Amazon ★★★★ 50歳の作家グスタフ・アッシェンバッハはミュンヘンに在住していた。ある日、彼は逃げ出したいという衝動に駆られて旅に出る。ヴェネツィアに辿り着いたアッシェンバッハは、ホテルで…

トーマス・マン『トニオ・クレーガー』(1903)

トニオ・クレーガー (光文社古典新訳文庫) 作者:マン 光文社 Amazon ★★★★ リューベック。大商人の父を持つトニオ・クレーガーは文学が好きで周囲から浮いていた。トニオは級友のハンスに好意を寄せるも、彼とは趣味が合わない。2年後、今度はダンスが縁でイ…

コレット『青い麦』(1923)

青い麦 (光文社古典新訳文庫) 作者:コレット 光文社 Amazon ★★★★ 16歳のフィリップと15歳のヴァンカは幼馴染のカップル。2人は夏の間、海辺の村でテニスやエビ捕りを楽しんでいた。思春期らしいプラトニックな関係を育むなか、フィリップの前にマダム・ダル…

トーマス・マン『だまされた女/すげかえられた首』(1940,1953)

だまされた女/すげかえられた首 (光文社古典新訳文庫) 作者:マン 光文社 Amazon ★★★★ 日本オリジナル編集の短編集。「だまされた女」、「すげかえられた首 あるインドの伝説」の2編。 「その通りよ、かわいいおまえ! まあ、なんておまえは自由に大胆に率直…