海外文学読書録

書評と感想

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

サルマン・ラシュディ『悪魔の詩』(1988)

悪魔の詩 上 作者:サルマン・ラシュディ,五十嵐 一,Salman Rushdie 新泉社 Amazon ★★★ ジブリール・ファリシタはインド映画界の大スター。一方、彼のライバルとなるサラディン・チャムチャは英国で教育を受けた舞台俳優。2人が乗り合わせたジャンボ・ジェッ…

ユードラ・ウェルティ『大泥棒と結婚すれば』(1942)

大泥棒と結婚すれば (文学のおくりもの 22) 作者:ユードラ・ウェルティ 晶文社 Amazon ★★ 18世紀後半。ミシシッピ川周辺に住む地主のクレメント・マスグローブが、ジェイミー・ロックハートという紳士に命を救ってもらう。クレメントには美しい娘ロザモンド…

ファン・ジョンウン『野蛮なアリスさん』(2013)

野蛮なアリスさん 作者:ファン・ジョンウン 河出書房新社 Amazon ★★★ 女装ホームレスのアリシアが、自分が生まれ育った町コモリについて語る。少年だったアリシアは、新築の家が建つまで両親と弟の4人でコンテナ暮らしをしていた。アリシアはクサレオメコの…

ジェイン・オースティン『高慢と偏見』(1813)

高慢と偏見 上 (ちくま文庫 お 42-1) 作者:ジェイン オースティン 筑摩書房 Amazon ★★★ ベネット家の次女エリザベスは、人間観察に秀でた20歳の独身女性。そんな彼女が、年収1万ポンド(現在の約1億円)の大地主ダーシー氏と知り合う。ダーシー氏は頭脳明晰…

ウィリアム・シェイクスピア『リチャード三世』(1592-1593?)

シェイクスピア全集 (7) リチャード三世 (ちくま文庫) 作者:W. シェイクスピア 筑摩書房 Amazon ★★★★ グロスター公リチャードは、長兄のイングランド王エドワード四世が病に伏せるなか、次兄のクラレンス公ジョージを謀殺する。王が死んだ後は邪魔な貴族を処…

ウィリアム・サローヤン『僕の名はアラム』(1940)

僕の名はアラム (新潮文庫) 作者:サローヤン,ウィリアム 新潮社 Amazon ★★★★ 連作短編集。「美しき白馬の夏」、「ハンフォードへの旅」、「ザクロ」、「わが未来の詩人」、「五十ヤード競争」、「恋の詩に彩られた美しくも古めかしきロマンス」、「雄弁家、…

巴金『寒い夜』(1947)

寒い夜 (岩波文庫) 作者:巴 金 岩波書店 Amazon ★★★ 抗日戦争下の重慶。半官半民の出版社に勤める汪文宣は、妻の樹生と喧嘩して家から逃げられていた。文宣は樹生が勤めている銀行の前に行き、彼女と色々あった末に家に帰ってきてもらう。しかし、樹生は文宣…

ウンベルト・エーコ『フーコーの振り子』(1988)

フーコーの振り子 上 (文春文庫) 作者:ウンベルト エーコ 文藝春秋 Amazon ★★★★★ 学生運動に沸くミラノ。大学生のカゾボンはテンプル騎士団をテーマにした卒論を書いていた。その彼がガラモン出版の編集者ベルボとその同僚ディオタッレーヴィと出会い、会社…

シャーロット・P・ギルマン『フェミニジア』(1915)

Herland: By Charlotte Perkins Gilman - Illustrated 作者:Charlotte Perkins Gilman Independently published Amazon ★★★ ジャングルの探検に来ていたアメリカの若者3人(テリー、ジェフ、ヴァン)が、現地人から「女だけの国」の存在を聞かされる。3人は…

閻連科『愉楽』(2004)

愉楽 作者:閻 連科 河出書房新社 Amazon ★★★★★ 住人の大半が身体障害者の受活村。そこを管轄する双槐県では、観光客を呼び込むためにロシアからレーニンの遺体を購入し、魂魄山に安置する計画を立てた。県長は受活村の障害者たちの特殊能力に目を付け、数十…