海外文学読書録

書評と感想

閻連科

閻連科『愉楽』(2004)

愉楽 作者:閻 連科 河出書房新社 Amazon ★★★★★ 住人の大半が身体障害者の受活村。そこを管轄する双槐県では、観光客を呼び込むためにロシアからレーニンの遺体を購入し、魂魄山に安置する計画を立てた。県長は受活村の障害者たちの特殊能力に目を付け、数十…

閻連科『硬きこと水のごとし』(2001)

硬きこと水のごとし 作者:閻連科 河出書房新社 Amazon ★★★ 文化大革命期。程崗鎮に住む農民・高愛軍は、村の有力者の娘婿になった後、軍に入隊して穴掘りをしていた。彼は除隊後に夏紅梅という若い女と運命的な出会いを果たす。夏紅梅は鎮の有力者の息子と結…

閻連科『丁庄の夢』(2005)

丁庄の夢 作者:閻連科 河出書房新社 Amazon ★★★ 丁庄の村は売血によってエイズが蔓延していた。もともと売血は政府の主導によるものだったが、村の有力者が私的に商売したのが原因でエイズが流行することになる。村人たちは熱病に苦しみながら新薬の到来を待…

閻連科『炸裂志』(2013)

炸裂志 作者:閻 連科 河出書房新社 Amazon ★★★★ 炸裂市発展の記録。炸裂村では孔家と朱家が二大派閥を形成していた。あるとき、村民たちはお告げに従い、外に出て人生の運命になるものと出会う。孔家の次男・明亮は皇帝になる運命を得た。やがて財を為した孔…

閻連科『年月日』(1997)

年月日 (白水Uブックス) 作者:閻連科 白水社 Amazon ★★★★ 日照り続きの農村。村人たちがこぞって村を離れるなか、72歳の先じいだけが盲犬と共に村に残った。理由は、畑にトウモロコシが一本顔を出していたからである。食糧も水も乏しいなか、先じいはトウモ…