海外文学読書録

書評と感想

2016-12-01から1ヶ月間の記事一覧

アンソニー・ドーア『すべての見えない光』(2014)

すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス) 作者:ドーア,アンソニー 発売日: 2016/08/26 メディア: 単行本 ★★★ (1) ナチス時代のドイツ。孤児の少年ヴェルナーが、才能を認められて国家政治教育学校に入学する。そこでは士官候補生たちが異様な生活を送っ…

イタロ・カルヴィーノ『冬の夜ひとりの旅人が』(1979)

冬の夜ひとりの旅人が (白水Uブックス) 作者:イタロ・カルヴィーノ 白水社 Amazon ★★★★ 男性読者の「あなた」が本屋で買ってきた『冬の夜ひとりの旅人が』を読んでみると、製本にミスのある乱丁本だった。翌日、本を取り替えてもらいに本屋へ行った彼は、そ…

チャールズ・ブコウスキー『パルプ』(1994)

パルプ (ちくま文庫) 作者:ブコウスキー,チャールズ 筑摩書房 Amazon ★★★ 私立探偵ニック・ビレーンのもとに、「死の貴婦人」を名乗る女がやってくる。彼女は死んだはずの作家セリーヌを探してほしいという。その後、知人から赤い雀を探すよう依頼され、さら…

閻連科『炸裂志』(2013)

炸裂志 作者:閻 連科 河出書房新社 Amazon ★★★★ 炸裂市発展の記録。炸裂村では孔家と朱家が二大派閥を形成していた。あるとき、村民たちはお告げに従い、外に出て人生の運命になるものと出会う。孔家の次男・明亮は皇帝になる運命を得た。やがて財を為した孔…

ヒラリー・マンテル『ウルフ・ホール』(2009)

ウルフ・ホール (上) 作者:ヒラリー・マンテル,Hilary Mantel 早川書房 Amazon ★★★ 16世紀。イングランド王ヘンリー8世は王妃と離婚したがっていた。下層階級出身のトマス・クロムウェルは、出世してウルジー枢機卿に仕えるも、枢機卿は王の離婚問題で下手…

コーマック・マッカーシー『悪の法則』(2013)

悪の法則 作者:コーマック・マッカーシー 早川書房 Amazon ★★★ 麻薬取引をしようとしていた弁護士だったが、予期せぬ不運から計画が頓挫し、それを自分のせいにされて組織から命を狙われることになる。 ウェストレイ イエスがなんでメキシコで生まれなかった…

イアン・マキューアン『未成年』(2014)

未成年 (新潮クレスト・ブックス) 作者:イアン マキューアン 新潮社 Amazon ★★★ 裁判官のフィオーナは59歳。彼女は夫から若い女と浮気したいと持ちかけられる。それを拒むフィオーナのもとに、病院からある緊急申請が舞い込んできた。それはエホバの証人を信…

ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』(1979)

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー) 作者:ミヒャエル・エンデ 岩波書店 Amazon ★★★★★ (1) いじめられっ子のバスチアンが、古本屋から1冊の本を盗み出す。それは『はてしない物語』という本だった。(2) はてしない物語。ファンタージエン国では国中に…