海外文学読書録

書評と感想

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

クリント・イーストウッド『15時17分、パリ行き』(2018/米)

15時17分、パリ行き(字幕版) アンソニー・サドラー Amazon ★★★ 大学生のアンソニー・サドラー、アメリカ空軍二等軍曹のスペンサー・ストーン、オレゴン州軍特技兵のアレク・スカラトスの3人は幼馴染。2015年8月21日、そんな彼らが欧州旅行で高速鉄道タリスに…

鈴木清順『俺たちの血が許さない』(1964/日)

俺たちの血が許さない 小林旭 Amazon ★★ 浅利組組長・浅利源治(緑川宏)が殺害されて18年。息子2人は母親に育てられて今では手に職をつけていた。兄・良太(小林旭)はキャバレーの支配人、弟・慎次(高橋英樹)は広告会社の社員をしている。良太は秘書の郷…

鈴木清順『花と怒涛』(1964/日)

花と怒涛 小林旭 Amazon ★★★ 大正時代。渡世人の尾形菊治(小林旭)が婚礼の行列から花嫁・おしげ(松原智恵子)を奪って逃走する。1年後、菊治は村田組で土方として働いていた。菊治のことを殺し屋の吉村(川地民夫)が付け狙っている。また、刑事の谷岡(…

鈴木清順『悪太郎伝 悪い星の下でも』(1965/日)

悪太郎伝 悪い星の下でも 山内賢 Amazon ★★★ 昭和初期の河内地方。八尾中学の4年生・鈴木重吉(山内賢)は牛乳配達で生活費を稼ぎ、第三高等学校への進学を希望している。重吉の父・重兵衛(多々良純)は貧農でギャンブルに目がなかった。重吉は学校でのトラ…

鈴木清順『悪太郎』(1963/日)

悪太郎 山内賢 Amazon ★★★★ 大正初期。素行不良で神戸の中学を退学になった紺野東吾(山内賢)が、豊岡の中学校校長の家に預けられる。編入試験を経てそこの中学に通うことになった東吾は風紀部に目をつけられることに。また、校医の娘・恵美子(和泉雅子)…

鈴木清順『刺青一代』(1965/日)

刺青一代 高橋英樹 Amazon ★★★★ 昭和初年。「白狐の鉄」こと村上鉄太郎(高橋英樹)は敵対するやくざの親分を殺害したが、すぐさま仲間に始末されそうになる。そこを弟・健次(花ノ本寿)に助けられるのだった。兄弟は満州へ逃げようとするも詐欺に遭って金…

田坂具隆『陽のあたる坂道』(1958/日)

陽のあたる坂道 石原裕次郎 Amazon ★★★ 大学生の倉本たか子(北原三枝)が坂の上にある裕福な田代家に家庭教師として訪問する。次男・信次(石原裕次郎)は画家をしているが、捻くれた性格をしていてわざとたか子の不興を買う。信次の妹・くみ子(芦川いづみ…

今村昌平『「エロ事師たち」より 人類学入門』(1966/日)

「エロ事師たち」より 人類学入門 小沢昭一 Amazon ★★★★★ スブやんこと緒方義元(小沢昭一)は8mmフィルムのポルノ映画制作や老人に女を斡旋するなど、エロ事師の仕事をしていた。彼は未亡人・春(坂本スミ子)と懇ろになり、春の息子・幸一(近藤正臣)と娘…

森永健次郎『若草物語』(1964/日)

若草物語 芦川いづみ Amazon ★★★ 次女・由紀(浅丘ルリ子)、三女・しずか(吉永小百合)、四女・チエコ(和泉雅子)が新婚の長女・早苗(芦川いづみ)を頼って大阪から上京する。姉妹は同郷のカメラマン・次郎(浜田光夫)と再会、また、ブルジョワの学生・…

井上梅次『嵐を呼ぶ男』(1957/日)

嵐を呼ぶ男 北原三枝 Amazon ★★★ 銀座のナイトクラブでは夜な夜なジャズバンドが演奏していた。ある日、バンドのマネージャー福島美弥子(北原三枝)の元に音大生の国分英次(青山恭二)がやってくる。英次は兄の正一(石原裕次郎)をドラマーとして売り込む…

鈴木清順『密航0ライン』(1960/日)

密航0ライン 長門裕之 Amazon ★★★ 極東新聞の香取(長門裕之)と日東新聞の仁科(小高雄二)がそれぞれ麻薬密売ルートを取材する。2人は友人だったが、取材方法は対照的だった。香取がなりふり構わず体当たりするのに対し、仁科は合法的に物事を進めている。…

川島雄三『愛のお荷物』(1955/日)

愛のお荷物 山村聰 Amazon ★★★ 厚生大臣・新木錠三郎(山村聰)は、増えすぎた日本の人口を抑制すべく「受胎調節相談所設置法案」を可決させようとする。そんな矢先、錠三郎の妻・蘭子(轟夕起子)が48歳にして妊娠するのだった。また、錠三郎の息子・錠太郎…

今村昌平『豚と軍艦』(1961/日)

豚と軍艦 長門裕之 Amazon ★★★★ 横須賀。米兵向けのヤミ娼館を経営していた日森組だったが、警察に踏み込まれてご破算になる。一家は米軍基地から出る残飯に目をつけ、豚の飼育をすることになった。下っ端の欣太(長門裕之)が飼育係を命じられる。欣太には…

中平康『誘惑』(1957/日)

誘惑 左幸子 Amazon ★★ 銀座で洋品店を営む杉本省吉(千田是也)は妻を亡くし、現在は一人娘の秀子(左幸子)と暮らしている。秀子は洋品店のニ階で前衛生花の展覧会を開こうとしていた。洋品店の店員・順子(渡辺美佐子)は若いのに化粧をせず、あまつさえ…

川島雄三『風船』(1956/日)

風船 森雅之 Amazon ★★★★ 有名な画家だった村上春樹(森雅之)は実業家に転じて大成功を収めていた。息子の圭吉(三橋達也)は父の会社で部長を務め、未亡人の久美子(新珠三千代)を愛人として囲っている。圭吉の妹・珠子(芦川いづみ)は小児麻痺のせいで…

舛田利雄『紅の流れ星』(1967/日)

紅の流れ星 渡哲也 Amazon ★★★★ 東京のやくざ・杉浦五郎(渡哲也)は加島組の親分を射殺、ほとぼりが冷めるまで神戸に身を隠すことになった。彼は宇須刑事(藤竜也)に目をつけられながらも尻尾を出さず、弟分の喜一(杉良太郎)や情婦のユカリ(松尾嘉代)…

今村昌平『にっぽん昆虫記』(1963/日)

にっぽん昆虫記 左幸子 Amazon ★★★★ 大正7年。東北の寒村。とめ(左幸子)は父・忠次(小池朝雄)と母・えん(佐々木すみ江)との間に生まれたが、出生の時期から父と血の繋がりがあるかどうか怪しまれる。成人したとめは製糸工場で女工として働く。母の陰謀…

柳瀬観『探偵事務所23 銭と女に弱い男』(1963/日)

探偵事務所23 銭と女に弱い男 宍戸錠 Amazon ★★★ 私立探偵・田島(宍戸錠)が調査のため宮城鉄砲店に潜入する。そこの店主・宮城(葉山良二)は沖縄から銃を密輸していた。組織の黒幕には射撃の名手・劉(小池朝雄)がいる。宮城の情婦にしてボスの万里(星…

川島雄三『わが町』(1956/日)

わが町 辰巳柳太郎 Amazon ★★★ 明治末期。フィリピンのベンゲット道路建設に従事した他吉(辰巳柳太郎)が故郷の大阪に帰ってくる。折しも世間は日露戦争の勝利に浮かれていた。長屋に住む他吉は隣人の落語家〆団治(殿山泰司)から、フィリピン出港前に情交…

リューベン・オストルンド『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(2017/スウェーデン=独=仏=デンマーク)

ザ・スクエア 思いやりの聖域(字幕版) クレス・バング Amazon ★★ クリスティアン(クレス・バング)は現代アート美術館の著名なキュレーター。彼は次の展覧会で「ザ・スクエア」という参加型のアートを展示することになった。それは地面に描いた正方形で思…

クリント・イーストウッド『クライ・マッチョ』(2021/米)

クライ・マッチョ(字幕版) クリント・イーストウッド Amazon ★★★ 1979年のテキサス。元ロデオスターのマイク(クリント・イーストウッド)は老齢を理由に牧場をクビになった。翌年、牧場主(ドワイト・ヨアカム)が尋ねてきてマイクに依頼をする。メキシコに…