海外文学読書録

書評と感想

2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

呉明益『自転車泥棒』(2015)

自転車泥棒 (文春文庫 コ 21-1) 作者:呉 明益 文藝春秋 Amazon ★★★ 作家の「ぼく」は、20年前(1993年)に父親が自転車と共に失踪して以来、古い自転車を集めるようになった。父親の自転車はどこに消えたのか? と長年疑問に思っていたが、あるときコレクタ…

ギ・ド・モーパッサン『女の一生』(1883)

女の一生 (光文社古典新訳文庫) 作者:モーパッサン 光文社 Amazon ★★★★ 男爵の一人娘ジャンヌが、17歳になって修道院の寄宿舎から出てくる。間もなく彼女は子爵のジュリアンと出会い、彼と結婚するのだった。コルシカへのハネムーンまでは比較的良好な関係だ…

ギュスターヴ・フローベール『ボヴァリー夫人』(1857)

ボヴァリー夫人(新潮文庫) 作者:フローベール 新潮社 Amazon ★★★★ 開業医のシャルル・ボヴァリーが、年増の妻を病気で亡くす。彼は農家の一人娘エマを後妻に迎えるのだった。エマは物語のような結婚生活を夢見ていたが、やがてシャルルの凡庸さに失望する…

ミロスラフ・ペンコフ『西欧の東』(2011)

西欧の東 (エクス・リブリス) 作者:ミロスラフ・ペンコフ 白水社 Amazon ★★★ 短編集。「マケドニア」、「西欧の東」、「レーニン買います」、「手紙」、「ユキとの写真」、「十字架泥棒」、「夜の地平線」、「デヴシルメ」の8編。 女性が六十年も大事にとっ…

ナオミ・オルダーマン『パワー』(2016)

パワー 作者:ナオミ・オルダーマン 河出書房新社 Amazon ★★ 突如、世界各地で少女たちが手から雷霆を放つことが出来るようになった。アメリカに住むアリ―もその一人で、彼女は「声」の言われるがまま、「その時」に向かって行動する。イヴと名乗ったアリ―は…

オリヴィエ・ゲーズ『ヨーゼフ・メンゲレの逃亡』(2017)

ヨーゼフ・メンゲレの逃亡 (海外文学セレクション) 作者:オリヴィエ・ゲーズ 東京創元社 Amazon ★★★★ アウシュヴィッツ強制収容所に勤務し、囚人の選別や人体実験を行って「死の天使」と渾名されたヨーゼフ・メンゲレ。その彼が1949年に偽名を使ってアルゼン…

フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』(2009)

犯罪 (創元推理文庫) 作者:フェルディナント・フォン・シーラッハ 東京創元社 Amazon ★★★★ 連作短編集。「フェーナー氏」、「タナタ氏の茶盌」、「チェロ」、「ハリネズミ」「幸運」、「サマータイム」、「正当防衛」、「緑」、「棘」、「愛情」、「エチオピ…