海外文学読書録

書評と感想

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

モナ・アワド『ファットガールをめぐる13の物語』(2016)

ファットガールをめぐる13の物語 作者:モナ・アワド 書肆侃侃房 Amazon ★★★ 連作短編集。「宇宙にさからう時」、「最大のファン」、「全身写真」、「そんなことなら」、「わたしの嫌いなあの子」、「それって欲張り」、「母にとってのセクシーな人」、「Fit4…

ゴンサロ・M・タヴァレス『エルサレム』(2004)

エルサレム 作者:ゴンサロ・M・タヴァレス 河出書房新社 Amazon ★★★★ ミリアは18歳のときに駆け出しの医師テオドールと結婚したが、統合失調症の疑いで精神病院に入れられる。そして、そこの入院患者エルンストの子供を妊娠するのだった。テオドールはただち…

サム・メンデス『1917 命をかけた伝令』(2019/英=米)

1917 命をかけた伝令 (字幕版) ジョージ・マッケイ Amazon ★★ 1917年4月6日。第一次世界大戦の西部戦線。イギリス軍兵士のウィリアム・スコフィールド(ジョージ・マッケイ)とトム・ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)に伝令の命令が下る。前…

片渕須直『BLACK LAGOON』(2006,2010-2011)

BLACK LAGOON Blu-ray BOX (初回限定版) ジェネオン・ユニバーサル Amazon 東南アジアの犯罪都市ロアナプラ。サラリーマンの岡島緑郎(浪川大輔)がひょんなことから運び屋のラグーン商会と関わる。ラグーン商会は黒人のダッチ(磯部勉)がボスで、中国系ガ…

マリオ・バルガス=リョサ『ケルト人の夢』(2010)

ケルト人の夢 作者:マリオ・バルガス=リョサ 岩波書店 Amazon ★★★ 1864年にダブリンで生まれたロジャー・ケイスメントは、イギリスの外交官としてコンゴに派遣される。そこで行われていた先住民への虐待を告発することで世論を喚起させたのだった。その後は…

ジェスミン・ウォード『骨を引き上げろ』(2011)

骨を引き上げろ 作者:ジェスミン・ウォード 作品社 Amazon ★★★★ ミシシッピ州の架空の街ボア・ソバージュ。黒人の少女エシュは幼い頃に母親を亡くしており、現在は長兄のランドール(17)、次兄のスキータ(16)、弟のジュニア(7)、さらに父親の4人と一緒…

エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ『最強のふたり』(2011/仏)

最強のふたり (字幕版) フランソワ・クリュゼ Amazon ★★★★ パリ。富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)は全身麻痺で24時間の介護を必要としていた。そんな彼の元に黒人のドリス(オマール・シー)が面接にやってくる。ところが、ドリスは就労する気はさ…

ケン・ローチ『わたしは、ダニエル・ブレイク』(2016/英=仏=ベルギー)

わたしは、ダニエル・ブレイク (字幕版) Amazon ★★★ ニューカッスル。ベテラン大工のダニエル(デイヴ・ジョーンズ)が心臓を悪くして医者から就労を止められる。ダニエルは失業給付金を申請しに役所に行くも、認定人から就労可能と判定されて給付を却下され…

チョ・ナムジュ『サハマンション』(2019)

サハマンション (単行本) 作者:チョ・ナムジュ 筑摩書房 Amazon ★★★ 南方にある都市国家タウン。そこは企業が運営する独立都市で、住民を階層付けする格差社会だった。ジンギョンとトギョンの姉弟はやむを得ない理由でタウンにやってきて、最低ランクの階層…