海外文学読書録

書評と感想

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

山本裕介『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(2020)

「推しが武道館いってくれたら死ぬ」Blu-ray Vol.1(特典なし) ファイルーズあい Amazon ★★★ フリーターのえりぴよ(ファイルーズあい)は、岡山県で活動する「ChamJam」のメンバー舞菜(立花日菜)の熱狂的なファンだった。ChamJamは7人組の地下アイドルグル…

ハサン・ブラーシム『死体展覧会』(2009,2013)

死体展覧会 (エクス・リブリス) 作者:ハサン・ブラーシム 白水社 Amazon ★★★★ 短編集。「死体展覧会」、「コンパスと人殺し」、「グリーンゾーンのウサギ」、「軍の機関紙」、「クロスワード」、「穴」、「自由広場の狂人」、「イラク人キリスト」、「アラビ…

マーティン・スコセッシ『キング・オブ・コメディ』(1983/米)

キング・オブ・コメディ 特別編集版 (字幕版) ロバート・デ・ニーロ Amazon ★★★★ コメディアン志望のルパート・パプキン(ロバート・デ・ニーロ)は、自分に才能があると堅く信じていた。その彼が売れっ子コメディアンのジェリー・ラングフォード(ジェリー…

マーティン・スコセッシ『タクシードライバー』(1976/米)

タクシードライバー (字幕版) ロバート・デ・ニーロ Amazon ★★★★★ マンハッタン。不眠症に悩むトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)がタクシードライバーの職に就く。彼は悪徳に塗れた町の人々に苛ついていた。あるとき、選挙事務所を通りがかったトラヴィス…

アーナルデュル・インドリダソン『湿地』(2000)

湿地 (創元推理文庫) 作者:アーナルデュル・インドリダソン 東京創元社 Amazon ★★ アイスランド南東部のレイキャヴィク。北の湿地にあるアパートから老人の死体が発見された。現場には犯人が書いたと思しき謎のメモが残されている。さらに犯行は杜撰で、現場…

村田沙耶香『丸の内魔法少女ミラクリーナ』(2020)

丸の内魔法少女ミラクリーナ 作者:村田 沙耶香 KADOKAWA Amazon ★★★★ 短編集。「丸の内魔法少女ミラクリーナ」、「秘密の花園」、「無性教室」、「変容」の4編。 結局、正義なんてどこにもないんだ、というのがミラクリーナの出した結論だった。大人になると…

ヘルマン・ヘッセ『ガラス玉演戯』(1943)

ガラス玉演戯 (Fukkan.com) 作者:ヘルマン ヘッセ 復刊ドットコム Amazon ★★★ 演戯名人ヨーゼフ・クネヒトの伝記。カスターリエンでは学芸が重んじられており、少年クネヒトは音楽名人の引き立てもあって、その道の学校に入学する。ガラス玉演戯の修行を積ん…

読書についてのアンケート2020

どうも世間では、古典文学を熱心に読む層と、現代文学を熱心に読む層とで別れているようだ。最近入ったDiscordのコミュニティでは前者が多く、僕がフォローしている読書メーターのアカウントでは後者が多い。 そこで気になった。このブログの読者はどちら派…

ヘルマン・ヘッセ『知と愛』(1930)

知と愛 (新潮文庫) 作者:ヘッセ 新潮社 Amazon ★★★ マリアブロン修道院では、年若いナルチスが助教師として働いていた。そこへ良家の子弟ゴルトムントが預けられる。知の人ナルチスと愛の人ゴルトムントは、友情で結ばれるのだった。やがてゴルトムントは修…

ヘルマン・ヘッセ『シッダールタ』(1922)

シッダールタ(新潮文庫) 作者:ヘルマン・ヘッセ 新潮社 Amazon ★★★★ バラモンの子シッダールタとその友人ゴーヴィンダが、現在の生活を捨てて沙門の道に入る。3年後、2人は涅槃に達したというゴータマの噂を聞く。バラモンや王公も彼の弟子になりつつある…

マーチン・サントフリート『ヒトラーの忘れもの』(2015/デンマーク=独)

ヒトラーの忘れもの(字幕版) ローラン・ムラ Amazon ★★★★ 第二次世界大戦後のデンマーク。この国ではナチスが海岸線に200万以上の地雷を埋めたため、ドイツ人捕虜を使って除去作業をしていた。ラムスン軍曹(ローランド・ムーラー)が受け持つエリアにも9名…

ドゥニ・ヴィルヌーヴ『ボーダーライン』(2015/米)

ボーダーライン(字幕版) エミリー・ブラント Amazon ★★★ FBI捜査官のケイト・メイサー(エミリー・ブラント)が、上司の推薦を経て国防総省の麻薬捜査チームに志願する。彼女は顧問のマット(ジョシュ・ブローリン)、謎の男アレハンドロ(ベニチオ・デル・…

フランク・キャプラ『オペラハット』(1936/米)

オペラハット(字幕版) ゲイリー・クーパー Amazon ★★★★ 田舎に住むディーズ(ゲイリー・クーパー)は、絵葉書に詩を書いたり、楽団でチューバを吹いたりして幸福に暮らしていた。そんな彼のもとに巨額の遺産が転がり込む。弁護士に連れられてニューヨーク…

ペーター・ハントケ『ドン・フアン(本人が語る)』(2004)

ドン・フアン(本人が語る) 作者:ペーター ハントケ 三修社 Amazon ★★★ どこからともなく「私」の宿屋に逃げてきたドン・フアン。彼が「私」に物語をする。森林地帯を歩いていたドン・フアンは、カップルが青姦しているのに遭遇し、しばらくそれを観察する…

ジュンパ・ラヒリ『その名にちなんで』(2003)

その名にちなんで (新潮クレスト・ブックス) 作者:ジュンパ・ラヒリ 新潮社 Amazon ★★★★ ゴーゴリと名付けられたインド系移民2世の半生。父が息子にその名をつけたのは、若い頃に列車事故に遭った際、その作家の本を持っていたことで救われたからだった。ゴ…