海外文学読書録

書評と感想

全米批評家協会賞

ジョン・アップダイク『金持になったウサギ』(1981)

金持になったウサギ〈1〉 (新潮・現代世界の文学) 作者:ジョン アップダイク,井上 謙治,John Updike 新潮社 Amazon ★★★ 1979年。アメリカは第2次オイルショックでガソリン不足に見舞われていた。ウサギことハリー・アングストロームは、印刷工から一転、トヨ…

ジョン・チーヴァー『巨大なラジオ/泳ぐ人』(1978)

巨大なラジオ / 泳ぐ人 作者:チーヴァー,ジョン 新潮社 Amazon ★★★★ 短編集。「巨大なラジオ」、「ああ、夢破れし街よ」、「サットン・プレイス物語」、「トーチソング」、「バベルの塔のクランシー」、「治癒」、「引っ越し日」、「シェイディー・ヒルの泥…

エドウィージ・ダンティカ『愛するものたちへ、別れのとき』(2007)

愛するものたちへ、別れのとき 作者:エドウィージ・ダンティカ,Edwidge Danticat 作品社 Amazon ★★★★ 2004年。35歳のエドウィージ・ダンティカは妊娠していた。一方、彼女の父親は69歳、肺病に罹って死にかけている。エドウィージは幼少期に伯父と祖国のハイ…

マリリン・ロビンソン『ギレアド』(2004)

ギレアド 作者:マリリン・ロビンソン 新教出版社 Amazon ★★★★ アイオワ州ギレアド。牧師のジョン・エイムズは、己の死期を悟って幼い息子へ手紙を書き始める。ジョンは1880年生まれの76歳。手紙には、南北戦争に従軍して片目を失った祖父や、無神論者の兄エ…

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『アメリカーナ』(2013)

アメリカーナ 上 (河出文庫) 作者:アディーチェ,チママンダ・ンゴズィ 発売日: 2019/12/06 メディア: 文庫 ★★★★★ イボ人のイフェメルはナイジェリアからアメリカに渡って13年が経っていた。帰郷する予定の彼女はヘアサロンで髪を結ってもらい、その最中に過…

ベン・ファウンテン『ビリー・リンの永遠の一日』(2012)

ビリー・リンの永遠の一日 (新潮クレスト・ブックス) 作者:ファウンテン,ベン 新潮社 Amazon ★★★★ イラク戦争。19歳のビリー含む8人のブラボー分隊の兵士たちは、英雄としてテキサスのスタジアムに駆り出されていた。彼らはフットボールの試合で、芸能人たち…

ジェニファー・イーガン『ならずものがやってくる』(2010)

ならずものがやってくる (ハヤカワepi文庫) 作者:ジェニファー・イーガン,Jennifer Egan 早川書房 Amazon ★★★★ 盗癖を治すべく精神科医にかかっているサーシャは、かつて有名音楽プロデューサーであるベニーのもとで働いていた。ベニーは元パンクロッカーで…

エドワード・P・ジョーンズ『地図になかった世界』(2003)

地図になかった世界 (エクス・リブリス) 作者:エドワード P ジョーンズ 白水社 Amazon ★★★★★ 19世紀のヴァージニア州マンチェスター郡。黒人農場主のヘンリー・タウンゼントが31歳で急死する。彼は両親ともども白人農場主の元奴隷で、父親が貯めた金で自由に…

ヒラリー・マンテル『ウルフ・ホール』(2009)

ウルフ・ホール (上) 作者:ヒラリー・マンテル,Hilary Mantel 早川書房 Amazon ★★★ 16世紀。イングランド王ヘンリー8世は王妃と離婚したがっていた。下層階級出身のトマス・クロムウェルは、出世してウルジー枢機卿に仕えるも、枢機卿は王の離婚問題で下手…