海外文学読書録

書評と感想

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

マルキ・ド・サド『悪徳の栄え』(1797-1801)

悪徳の栄え (角川文庫) 作者:マルキ・ド・サド KADOKAWA Amazon ★★ パンデモンの修道院で育てられたジュリエットは、13歳のとき、三十路の尼僧デルベーヌ夫人と出会う。ジュリエットはデルベーヌ夫人からキリスト教道徳に反した悪徳を教育されるのだった。修…

フランツ・カフカ『アメリカ』(1927)

アメリカ (角川文庫) 作者:フランツ・カフカ,中井 正文 KADOKAWA Amazon ★★★★ 16歳でドイツからアメリカに追放されたカール・ロスマンは、ニューヨーク港で火夫の抗議に協力した後、伯父で上院議員のヤーコブに引き取られる。ヤーコブは仲介業を営む富裕層だ…

ヨナス・ヨナソン『華麗な復讐株式会社』(2020)

華麗な復讐株式会社 作者:ヨナス・ヨナソン 西村書店 Amazon ★★★ ストックホルム。画商ヴィクトル・アルデルヘイムは極右の野心家である。彼は金持ちの令嬢イェンニから財産を奪い、私生児の息子ケヴィンをケニアのサバンナに置き去りにした。ケヴィンは現地…

ジョン・ケネディ・トゥール『愚か者同盟』(1980)

愚か者同盟 作者:ジョン・ケネディ・トゥール 国書刊行会 Amazon ★★★ ニューオリンズ。30歳のイグネイシャスは肥満体の子供部屋おじさんで、どこにも発表するあてのない論文を子供用レポート用紙に書き殴っていた。そんな彼も母親の不始末で外に働きに出るこ…

ロマン・ポランスキー『水の中のナイフ』(1962/ポーランド)

水の中のナイフ(字幕版) レオン・ニェムチック Amazon ★★★★ アンジェイ(レオン・ニェムチック)とクリスティーナ(ヨランタ・ウメッカ)は裕福な夫婦。アンジェイが車を運転していると、前方に若者(ジグムント・マラノウッツ)が飛び出してきた。若者はヒ…

本宮ひろ志『夢幻の如く』(1991-1995)

夢幻の如く 第1巻 作者:本宮 ひろ志 サード・ライン Amazon ★★★ 1582年(天正10年)。本能寺の変で絶体絶命に陥った織田信長だったが、謎の光に助けられ命拾いする。信長は身分を隠して暗躍し、豊臣秀吉に天下を取らせるのだった。その後、海を渡って世界征…

本宮ひろ志『赤龍王』(1986-1987)

赤龍王 第1巻 作者:本宮 ひろ志 サード・ライン Amazon ★★★ 紀元前221年。秦の始皇帝が中国を統一する。ところが、独裁者となった始皇帝は圧政を敷くのだった。民衆はそれに不満を持ち各地で蜂起する。沛県の亭長・劉邦は粗野な農民だったが、肝っ玉と人望で…

本宮ひろ志『天地を喰らう』(1983-1984)

天地を喰らう 第1巻 作者:本宮 ひろ志 サード・ライン Amazon ★★★ 後漢末期。天界を率いる竜王には2人の娘がおり、彼女たちは若返るために男の初精を必要としていた。劉備と諸葛亮が姉妹と交わる。やがて劉備は鬼を退治することで「肝っ玉」を手に入れ、関羽…