海外文学読書録

書評と感想

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

サンティアゴ・H・アミゴレナ『内なるゲットー』(2019)

内なるゲットー 作者:サンティアゴ・ H・アミゴレナ 河出書房新社 Amazon ★★★ 1940年のブエノスアイレス。家具店を営むビセンテ・ローゼンベルクは、ポーランドからの移民にしてユダヤ人だった。彼は祖国に母を残している。当初は母から頻繁に手紙が届いてい…

陳浩基『網内人』(2017)

網内人 (文春e-book) 作者:陳 浩基 文藝春秋 Amazon ★★★ 香港。若くして両親を亡くしたアイだったが、今度は妹のシウマンが飛び降り自殺してしまう。シウマンは痴漢の被害に遭っており、その件に絡んでネットの掲示板で誹謗中傷されていた。アイは最初に中傷…

エリフ・シャファク『レイラの最後の10分38秒』(2019)

レイラの最後の10分38秒 作者:エリフ シャファク 早川書房 Amazon ★★★ 1990年のイスタンブル。レイラという娼婦が路地裏のゴミ箱で息絶えていた。ところが、心肺停止から10分38秒もの間、意識だけがはっきりしている。彼女は生い立ちや友人のこと、さらには…

ポン・ジュノ『母なる証明』(2009/韓国)

母なる証明(字幕版) キム・ヘジャ Amazon ★★★★ 母親(キム・ヘジャ)と息子・トジュン(ウォンビン)は2人暮らし。トジュンには悪友・ジンテ(チン・グ)がおり、何かといいように利用されている。ある日、トジュンが少女(チョン・ミソン)を殺害した容疑で…

アフマド・サアダーウィー『バグダードのフランケンシュタイン』(2013)

バグダードのフランケンシュタイン (集英社文芸単行本) 作者:アフマド・サアダーウィー 集英社 Amazon ★★★★ 2005年のバグダード。米軍が駐留する同地では連日爆破テロが起きていた。そんななか、古物商のハーディーが遺体を継ぎ接ぎして『フランケンシュタイ…

ベルンハルト・ケラーマン『トンネル』(1913)

トンネル 作者:ベルンハルト・ケラーマン 国書刊行会 Amazon ★★★ アメリカ人技師のマック・アランが、大西洋横断海底トンネル鉄道の建設計画をぶち上げる。その計画に資産家のロイド氏ほか、世界中の銀行や大衆が出資するのだった。組織は大量の労働者を雇用…

アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ『私はゼブラ』(2018)

私はゼブラ (エクス・リブリス) 作者:アザリーン・ヴァンデアフリート・オルーミ 白水社 Amazon ★★★ イラン。ホッセイニ一族の末裔ゼブラは、父から「文学以外の何ものをも愛してはならない」と戒められ、幼い頃から人文学の英才教育を受ける。やがてサダム…

ルイ・レテリエ『インクレディブル・ハルク』(2008/米)

インクレディブル・ハルク(字幕版) Lou Ferrigno Amazon ★★ 科学者のブルース・バナー(エドワード・ノートン)は施設で軍事研究をしており、自分の体を使って人体実験をする。その結果、心拍数が200を超えると怪物化する特殊体質になってしまった。軍から追…

ウィリアム・ワイラー『ローマの休日』(1953/米)

ローマの休日(字幕版) オードリー・ヘプバーン Amazon ★★★★ ヨーロッパ各国を親善旅行中の王女アン(オードリー・ヘプバーン)は、イタリアのローマを訪れる。そこで彼女は過密スケジュールに耐えかねてヒステリーを起こす。その夜、城を抜け出したアンは…

クエンティン・タランティーノ『レザボア・ドッグス』(1992/米)

レザボア・ドッグス Peter Brown Amazon ★★★★ 裏社会の大物ジョー・ガボット(ローレンス・ティアニー)が宝石強盗を計画し、息子のナイスガイ・エディ(クリス・ペン)と共に、ホワイト(ハーヴェイ・カイテル)、オレンジ(ティム・ロス)、ブロンド(マイ…