海外文学読書録

書評と感想

ピュリッツァー賞

ジョン・ケネディ・トゥール『愚か者同盟』(1980)

愚か者同盟 作者:ジョン・ケネディ・トゥール 国書刊行会 Amazon ★★★ ニューオリンズ。30歳のイグネイシャスは肥満体の子供部屋おじさんで、どこにも発表するあてのない論文を子供用レポート用紙に書き殴っていた。そんな彼も母親の不始末で外に働きに出るこ…

ジョン・スタインベック『怒りの葡萄』(1939)

怒りの葡萄〔新訳版〕(上) (ハヤカワepi文庫) 作者:ジョン スタインベック 早川書房 Amazon ★★★ オクラホマ州。殺人の罪で服役していたトム・ジョードが、4年の刑期を務めて仮釈放される。家に帰ると家族は農場を引き払うところだった。オクラホマ州では農業…

エリザベス・ストラウト『オリーヴ・キタリッジの生活』(2008)

オリーヴ・キタリッジの生活 (ハヤカワepi文庫) 作者:エリザベス ストラウト 早川書房 Amazon ★★★★ 連作短編集。「薬局」、「上げ潮」、「ピアノ弾き」、「小さな破裂」、「飢える」、「別の道」、「冬のコンサート」、「チューリップ」、「旅のバスケット」…

コルソン・ホワイトヘッド『ニッケル・ボーイズ』(2019)

ニッケル・ボーイズ 作者:コルソン ホワイトヘッド 早川書房 Amazon ★★★ 1960年代のフロリダ州。黒人の高校生エルウッドは品行方正で勉学に励んでおり、大学の授業に誘われるほど優秀だった。ところが、ある日無実の罪で少年院ニッケル校に送られることにな…

ジョン・アップダイク『金持になったウサギ』(1981)

金持になったウサギ〈1〉 (新潮・現代世界の文学) 作者:ジョン アップダイク,井上 謙治,John Updike 新潮社 Amazon ★★★ 1979年。アメリカは第2次オイルショックでガソリン不足に見舞われていた。ウサギことハリー・アングストロームは、印刷工から一転、トヨ…

ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』(1999)

停電の夜に (新潮文庫) 作者:ジュンパ ラヒリ 新潮社 Amazon ★★★★ 短編集。「停電の夜に」、「ピルザダさんが食事に来たころ」、「病気の通訳」、「本物の門番」、「セクシー」、「セン夫人の家」、「神の恵みの家」、「ビビ・ハルダーの治療」、「三度目で…

リチャード・パワーズ『オーバーストーリー』(2018)

オーバーストーリー 作者:パワーズ,リチャード 新潮社 Amazon ★★★ 芸術家のニコラス・ホーエルには、南北戦争前から四世代にわたって栗の木を育て、その様子を写真に収めてきた祖先がいた。そんな彼がオリヴィアという女子大生と出会う。彼女は感電して死の…

アンドリュー・ショーン・グリア『レス』(2017)

レス 作者:アンドリュー ショーン グリア 早川書房 Amazon ★★★ 売れない作家のアーサー・レスは、もうすぐ50歳の誕生日を迎えようとしていた。彼は若い頃に年上の天才詩人ロバートと恋仲にあり、彼と別れたあとは友人の血縁フレディと恋仲になっている。アー…

アリス・ウォーカー『カラーパープル』(1982)

カラーパープル (集英社文庫) 作者:アリス ウォーカー,柳沢 由実子 集英社 Amazon ★★★ 20歳のセリーは、妹の身代わりとしてミスター**の元に嫁がさせられる。2人の間に愛はなく、セリーはミスター**の子供たちを世話するために結婚させられたのだった。…

ジョン・チーヴァー『巨大なラジオ/泳ぐ人』(1978)

巨大なラジオ / 泳ぐ人 作者:チーヴァー,ジョン 新潮社 Amazon ★★★★ 短編集。「巨大なラジオ」、「ああ、夢破れし街よ」、「サットン・プレイス物語」、「トーチソング」、「バベルの塔のクランシー」、「治癒」、「引っ越し日」、「シェイディー・ヒルの泥…

マリリン・ロビンソン『ギレアド』(2004)

ギレアド 作者:マリリン・ロビンソン 新教出版社 Amazon ★★★★ アイオワ州ギレアド。牧師のジョン・エイムズは、己の死期を悟って幼い息子へ手紙を書き始める。ジョンは1880年生まれの76歳。手紙には、南北戦争に従軍して片目を失った祖父や、無神論者の兄エ…

ポール・ハーディング『ティンカーズ』(2009)

ティンカーズ (エクス・リブリス) 作者:ポール ハーディング 白水社 Amazon ★★★ 80歳のジョージ・ワシントン・クロスビーは退職後に時計修理の仕事をしており、現在は死の床にあった。彼が子供の頃、父のハワードは貧しいセールスマンをしていたが、ジョージ…

コルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』(2016)

地下鉄道 (ハヤカワepi文庫) 作者:コルソン ホワイトヘッド 早川書房 Amazon ★★★ ジョージアのランドル農園。そこで奴隷をしている15歳の黒人少女コーラは、母親の失踪によって周囲から孤立していた。そんななか、シーザーという新入りの奴隷から一緒に逃亡…

ヴィエト・タン・ウェン『シンパサイザー』(2015)

シンパサイザー 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:ヴィエト タン ウェン 早川書房 Amazon ★★★★ ヴェトナム戦争。サイゴンが陥落し、南ヴェトナムの将校たちはアメリカ西海岸に難民として移り住むことになる。大尉の「私」は表向き将軍に仕えていたが、実は…

ジェニファー・イーガン『ならずものがやってくる』(2010)

ならずものがやってくる (ハヤカワepi文庫) 作者:ジェニファー・イーガン,Jennifer Egan 早川書房 Amazon ★★★★ 盗癖を治すべく精神科医にかかっているサーシャは、かつて有名音楽プロデューサーであるベニーのもとで働いていた。ベニーは元パンクロッカーで…

エドワード・P・ジョーンズ『地図になかった世界』(2003)

地図になかった世界 (エクス・リブリス) 作者:エドワード P ジョーンズ 白水社 Amazon ★★★★★ 19世紀のヴァージニア州マンチェスター郡。黒人農場主のヘンリー・タウンゼントが31歳で急死する。彼は両親ともども白人農場主の元奴隷で、父親が貯めた金で自由に…

アンソニー・ドーア『すべての見えない光』(2014)

すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス) 作者:ドーア,アンソニー 発売日: 2016/08/26 メディア: 単行本 ★★★ (1) ナチス時代のドイツ。孤児の少年ヴェルナーが、才能を認められて国家政治教育学校に入学する。そこでは士官候補生たちが異様な生活を送っ…