海外文学読書録

書評と感想

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ミシェル・ウエルベック『ランサローテ島』(2000)

ランサローテ島 作者:ミシェル ウエルベック 河出書房新社 Amazon ★★★ フランス人の「私」がアフリカ沿岸沖のランサローテ島へ旅行に行く。そこは火山のある荒涼とした島だった。「私」は現地でベルギー人の男、ドイツ人のレズビアンカップルと知り合う。 「…

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『半分のぼった黄色い太陽』(2006)

半分のぼった黄色い太陽 作者:チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ 河出書房新社 Amazon ★★★★★ 1960年代のナイジェリア。(1) イボ人の少年ウグウが、同じイボ人の大学講師オデニボのハウスキーパーになる。(2) 裕福なイボ人のオランナが、恋人であるオデニボ…

閻連科『年月日』(1997)

年月日 (白水Uブックス) 作者:閻連科 白水社 Amazon ★★★★ 日照り続きの農村。村人たちがこぞって村を離れるなか、72歳の先じいだけが盲犬と共に村に残った。理由は、畑にトウモロコシが一本顔を出していたからである。食糧も水も乏しいなか、先じいはトウモ…

ピエール・ルメートル『その女アレックス』(2011)

その女アレックス (文春文庫) 作者:ピエール・ルメートル 文藝春秋 Amazon ★★★★ 看護師のアレックスが大男に誘拐され監禁される。彼の動機は不明だった。アレックスは隙を見て脱出を試みる。一方、カミーユ・ヴェルーヴェン警部が捜査に乗り出すと、間もなく…

ロバート・グレーヴズ『この私、クラウディウス』(1934)

この私、クラウディウス 作者:ロバート グレーヴズ 発売日: 2001/03/16 メディア: 単行本 ★★★★ ローマ皇帝クラウディウスの自伝。生まれついての片端者だったクラウディウスは、大伯父のアウグストゥスや祖母のリウィアなど、親族から疎まれていた。そんな彼…

ミヒャエル・エンデ『モモ』(1973)

モモ (岩波少年文庫(127)) 作者:ミヒャエル・エンデ 岩波書店 Amazon ★★★ 浮浪児のモモが、町外れの円形劇場跡に住み着く。彼女には人の話を聞く才能があり、町の人たちから慕われるようになった。ところが、町に「時間どろぼう」がやってきて状況は一変する…

ジュリアン・バーンズ『終わりの感覚』(2011)

終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス) 作者:ジュリアン バーンズ Shinchosha/Tsai Fong Books Amazon ★★★ 高校時代、「私」と 仲間たちはエイドリアンの哲学的知性を評価して親友になった。卒業後、彼はケンブリッジ大学に進学し、「私」の元カノであるベ…

ポール・オースター『闇の中の男』(2008)

闇の中の男 作者:ポール オースター 新潮社 Amazon ★★★ (1) 書評家の老人は、娘と孫娘の3人暮らし。そんな彼が頭のなかで物語をこしらえる。(2) 老人が作った物語。手品師のブリックは、内戦中のアメリカに兵士として放り込まれる。そこは9.11もイラク戦争も…

オルハン・パムク『黒い本』(1990)

黒い本 作者:オルハン・パムク 藤原書店 Amazon ★★★★ 弁護士のガーリップは幼馴染のリュヤーと結婚していたが、ある日、妻がメモを残して失踪してしまう。同時期に彼女の異母兄のジェラールも行方不明になっていた。ジェラールは新聞の人気コラムニストで、…

ピエール・ルメートル『天国でまた会おう』(2013)

天国でまた会おう(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:ピエール ルメートル,Pierre Lemaitre 早川書房 Amazon ★★ 第一次世界大戦。戦場で上官の不正を目撃したアルベールは、砲弾の穴に生き埋めになって死にそうになる。それを助けたのは同僚のエドゥアール…