海外文学読書録

書評と感想

2022-01-01から1年間の記事一覧

フリッツ・ラング『死刑執行人もまた死す』(1943/米)

死刑執行人もまた死す(字幕版) ブライアン・ドンレヴィ Amazon ★★★ ドイツ占領下のプラハ。死刑執行人と呼ばれるナチスの副総統が何者かに暗殺された。実行犯のスヴォボダ(ブライアン・ドンレヴィ)は偶然出会ったマーシャ(アンナ・リー)のアパートを訪れ…

呉明益『雨の島』(2019)

雨の島 作者:呉明益 河出書房新社 Amazon ★★★★ 短編集。「闇夜、黒い大地と黒い山」、「人はいかにして言語を学ぶか」、「アイスシールドの森」、「雲は高度二千メートルに」、「とこしえに受胎する女性」、「サシバ、ベンガル虎および七人の少年少女」の6編…

エルヴェ・ル・テリエ『異常』(2020)

異常【アノマリー】 作者:エルヴェ ル テリエ 早川書房 Amazon ★★★ 2021年6月。パリ発ニューヨーク行きのエールフランス006便が乱気流に巻き込まれる。アメリカ国内に着陸すると、3ヶ月前に同じ飛行機が着陸していることが判明した。乗員・乗客もまったく同…

新房昭之、宮本幸裕『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』(2013/日)

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語 悠木碧 Amazon ★★★★ 見滝原市。鹿目まどか(悠木碧)、美樹さやか(喜多村英梨)、巴マミ(水橋かおり)、佐倉杏子(野中藍)の4人は魔法少女になってナイトメアという怪物と戦っていた。そこに転校生の暁…

相米慎二『台風クラブ』(1985/日)

台風クラブ 工藤夕貴 Amazon ★★★★ 田園風景が広がる地方都市。夜中、中学校のプールに男子生徒・女子生徒たちが侵入し、ちょっとした騒動になる。翌日、授業中の教師のもとに恋人の母親が乱入して大いに揉める。やがて台風が到来。学校に残った生徒たちが男…

ラーラ・プレスコット『あの本は読まれているか』(2019)

あの本は読まれているか 作者:ラーラ・プレスコット 東京創元社 Amazon ★★★ 冷戦期。作家のボリス・パステルナークは愛人のオリガと仲睦まじかったが、『ドクトル・ジバゴ』の出版を巡って意見が対立する。ボリスは国内での出版が見込めないため、密かにイタ…

リュドミラ・ウリツカヤ『緑の天幕』(2010)

緑の天幕 (新潮クレスト・ブックス) 作者:リュドミラ・ウリツカヤ 新潮社 Amazon ★★★ スターリンの死からソ連崩壊まで。イリア、ミーハ、サーニャの3人は幼馴染で、長じてからは反体制運動に身を投じることになった。また、オーリャ、ガーリャ、タマーラの3…

荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険 Part8 ジョジョリオン』(2011-2021)

ジョジョの奇妙な冒険 第8部 カラー版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:荒木飛呂彦 集英社 Amazon ★★ M県S市杜王町。3.11の震災によって地形が変化し、海岸に沿って「壁の目」と呼ばれる隆起した土地ができていた。広瀬康穂がその「壁の目」に埋もれてい…

水上悟志『惑星のさみだれ』(2005-2010)

惑星のさみだれ (1) (ヤングキングコミックス) 作者:水上悟志 少年画報社 Amazon ★★★★ 18歳の大学生・雨宮夕日が、喋るトカゲによってトカゲの騎士に選ばれる。彼は姫である朝日奈さみだれの従者として魔法使いが生み出した泥人形と戦うことになった。魔…

荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険 Part7 スティール・ボール・ラン』(2004-2011)

ジョジョの奇妙な冒険 第7部 カラー版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:荒木飛呂彦 集英社 Amazon ★★★ 1890年。興行主のスティーブン・スティールが総距離約6000kmに及ぶ北米大陸横断レースを開催することになった。多数の参加者の中には、鉄球使いのジ…

スティーヴン・ミルハウザー『夜の声』(2015)

夜の声 作者:スティーヴン・ミルハウザー 白水社 Amazon ★★★ 短編集。「ラプンツェル」、「私たちの町の幽霊」、「妻と泥棒」、「マーメイド・フィーバー」、「近日開店」、「場所」、「アメリカン・トールテール」、「夜の声」の8編。 階段のてっぺんで、野…

京田知己『交響詩篇エウレカセブン』(2005-2006)

TVシリーズ 交響詩篇エウレカセブン Blu-ray BOX1 (特装限定版) 三瓶由布子 Amazon ★★★ 辺境の地ベルフォレスト。14歳のレントン(三瓶由布子)は英雄を父に持ち、現在は整備工の祖父と2人暮らし。リフをするのが楽しみの明るい少年だった。ある日、自宅に巨…

アンドルス・キヴィラフク『蛇の言葉を話した男』(2007)

蛇の言葉を話した男 作者:アンドルス・キヴィラフク 河出書房新社 Amazon ★★★★ エストニア。レーメットは森で母親と姉の3人で暮らしていた。森ではおじさんから蛇の言葉を教えてもらう。森の近くには村があり、その村は外国から来たキリスト教の影響下にあっ…

ヴィエト・タン・ウェン『革命と献身』(2020)

革命と献身 シンパサイザーⅡ 作者:ヴィエト タン ウェン 早川書房 Amazon ★★★★ ヴェトナム戦争後に二重スパイをしていた「私」は、紆余曲折の末に義兄弟のボンとパリに流れ着く。難民として入国した2人は中国系マフィアの傘下に入り、麻薬取引に手を染めるの…

ジュノ・ディアス『こうしてお前は彼女にフラれる』(2012)

こうしてお前は彼女にフラれる (新潮クレスト・ブックス) 作者:ジュノ・ディアス 新潮社 Amazon ★★★★ 連作短編集。「太陽と月と星々」、「ニルダ」、「アルマ」、「もう一つの人生を、もう一度」、「フラカ」、「プラの信条」、「インビエルノ」、「ミス・ロ…

丹沢恵『あしたもゲンキ!』(1996-2001)

あしたもゲンキ!(1) (バンブーコミックス 4コマセレクション) 作者:丹沢 恵 竹書房 Amazon ★★★ 建設コンサルタントの計画課。25歳の宮田ゆんは就職して7年目の正社員だった。彼女は童顔でおっちょこちょい、外に出れば道によく迷っている。同僚には個性…