海外文学読書録

書評と感想

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョゼフ・コンラッド『シークレット・エージェント』(1907)

シークレット・エージェント (光文社古典新訳文庫) 作者:コンラッド 光文社 Amazon ★★★★ ロンドン。ミスター・ヴァーロックは妻ウィニーのほか、義母と義弟を家に引き取っており、一家でいかがわしい物を売る雑貨店を経営している。ところが、ミスター・ヴァ…

ハーマン・メルヴィル『ビリー・バッド』(1924)

ビリー・バッド (光文社古典新訳文庫) 作者:メルヴィル 光文社 Amazon ★★★ 蒸気船が登場する前。商船の水夫ビリー・バッドが英国の戦艦に強制徴用される。ビリーは齢21にして英国艦隊のフォアトップマンになった。ところが、ビリーは先任衛兵長のクラガート…

ギ・ド・モーパッサン『脂肪の塊/ロンドリ姉妹 モーパッサン傑作選』(1880,1884)

脂肪の塊/ロンドリ姉妹~モーパッサン傑作選~ (光文社古典新訳文庫) 作者:モーパッサン 光文社 Amazon ★★★ 日本オリジナル編集の短編集。「聖水係の男」、「『冷たいココはいかが!』」、「脂肪の塊(ブール・ド・スュイフ)」、「マドモワゼル・フィフィ…

ジュール・ルナール『にんじん』(1894)

にんじん (光文社古典新訳文庫) 作者:ルナール 光文社 Amazon ★★★ ルピック家の末っ子フランソワは、赤茶けた髪の毛とそばかすだらけの肌から「にんじん」とあだ名をつけられていた*1。にんじんには兄のフェリックスと姉のエルネスチーヌがいる。父親のルピ…

ベルトルト・ブレヒト『三文オペラ』(1928)

三文オペラ (光文社古典新訳文庫) 作者:ブレヒト 光文社 Amazon ★★★ ロンドン。乞食の元締めをしているピーチャムには娘のポリーがいた。ポリーは盗賊団のボス・メッキースと恋仲になっていて、馬小屋で結婚式を挙げることになる。一方、メッキースは警視総…

ギュスターヴ・フローベール『三つの物語』(1877)

三つの物語 (光文社古典新訳文庫) 作者:フローベール 光文社 Amazon ★★★★ 短編集。「素朴なひと」、「聖ジュリアン伝」、「ヘロディアス」の3編。 リエバールのおかみさんは、女主人の姿を目にするや、嬉しくてたまらないという様子をことさらに示してみせた…

ルイーザ・メイ・オルコット『若草物語』(1868)

若草物語 (光文社古典新訳文庫) 作者:オルコット 光文社 Amazon ★★★ 南北戦争。父が北軍の従軍牧師として出征したため、女だらけになったマーチ家。長女メグ(16)、次女ジョー(15)、三女ベス(13)、四女エイミー(12)の四姉妹が、母のマーチ夫人、女中…

ハーマン・メルヴィル『書記バートルビー/漂流船』(1853,1855)

書記バートルビー/漂流船 (光文社古典新訳文庫) 作者:メルヴィル 光文社 Amazon ★★★★ 日本オリジナル編集の短編集。「書記バートルビー」、「漂流船」の2編。 あの書記に関わるこれらの面倒ごとは、すべて永遠の昔から自分に運命付けられているということ、…

ジェローム・K・ジェローム『ボートの三人男 もちろん犬も』(1889)

ボートの三人男~もちろん犬も~ (光文社古典新訳文庫) 作者:ジェローム・K・ジェローム 光文社 Amazon ★★★ 「僕」とジョージとハリス、それに犬のモンモランシーが、ボートでテムズ河を漕ぎのぼる。一行はキングストンからオックスフォードへ向かうのだった…

ベルトルト・ブレヒト『ガリレオの生涯』(1957)

ガリレオの生涯 (光文社古典新訳文庫) 作者:ブレヒト 光文社 Amazon ★★★★ ヴェネツィア。教職に就いていたガリレオ・ガリレイは、金のためにオランダで販売されていた望遠鏡をパクって大学に売り込む。彼はその望遠鏡を使って研究し、堂々と地動説を唱えるの…

ハンス・ペテル・モランド『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』(2014/ノルウェー=スウェーデン=デンマーク)

ファイティング・ダディ 怒りの除雪車(字幕版) ステラン・スカルスガルド Amazon ★★★ ノルウェー。除雪車の運転手ニルス・ディックマン(ステラン・スカルスガルド)の息子が何者かに殺された。ニルスは芋づる式に関連人物を尋問・殺害していき、下手人が…

スティーヴン・クレイン『勇気の赤い勲章』(1895)

勇気の赤い勲章 (光文社古典新訳文庫) 作者:スティーヴン・クレイン 光文社 Amazon ★★★★ 南北戦争。英雄に憧れる若者ヘンリーが北軍に志願して入隊する。軍隊の内情は自分の想像とは大きく違っていた。ヘンリーは一刻も早く戦闘したくてうずうずしていたが、…