海外文学読書録

書評と感想

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ローベルト・ゼーターラー『ある一生』(2014)

ある一生 (新潮クレスト・ブックス) 作者:ゼーターラー,ローベルト 新潮社 Amazon ★★★★ 20世紀初頭のアルプス。私生児のアンドレア・エッガーは親戚の農場主に引き取られ、過酷な労働に従事させられる。大人になって自立したある日、雪山でヤギ飼いのヤギハ…

ジョン・ウィリアムズ『ストーナー』(1965)

ストーナー 作者:ジョン・ウィリアムズ 作品社 Amazon ★★★★ 貧しい農家に生まれたウィリアム・ストーナーは、1910年、19歳のときにミズーリ大学に入学する。当初は農学を専攻していたが、シェイクスピアの詩と出会うことで文転することに。第一次世界大戦末…

フランク・キャプラ『スミス都へ行く』(1939/米)

スミス都へ行く(字幕版) ジェームズ・スチュワート Amazon ★★★★ 上院議員が死亡した。後継者としてボーイスカウトの団長ジェファーソン・スミス(ジェームズ・スチュワート)が担ぎ上げられる。スミスは純朴で子供たちに慕われていた。しかし、背景にはダム…

ジェイン・オースティン『エマ』(1815)

エマ (上) (ちくま文庫) 作者:ジェイン・オースティン 筑摩書房 Amazon ★★★ ロンドン近郊のサリー州ハイベリー村。大地主の娘エマ・ウッドハウスは21歳独身、父親と2人暮らしで屋敷を切り盛りしていた。そんな彼女は縁結びが趣味で、私生児ハリエットと若き…

エリザベス・ストラウト『オリーヴ・キタリッジの生活』(2008)

オリーヴ・キタリッジの生活 (ハヤカワepi文庫) 作者:エリザベス ストラウト 早川書房 Amazon ★★★★ 連作短編集。「薬局」、「上げ潮」、「ピアノ弾き」、「小さな破裂」、「飢える」、「別の道」、「冬のコンサート」、「チューリップ」、「旅のバスケット」…

エリア・カザン『紳士協定』(1947/米)

紳士協定(字幕版) グレゴリーペック Amazon ★★★ 人気ライターのフィリップ(グレゴリー・ペック)が、カリフォルニアからニューヨークに引っ越してくる。彼は妻に先立たれており、母親(アン・リヴィア)と息子(ディーン・ストックウェル)の3人で暮らして…

ぼや野『ぽんこつヒーローアイリーン』(2017-2018)

ぽんこつヒーローアイリーン 1巻 (まんがタイムKRコミックス) 作者:ぼや野 芳文社 Amazon ★★★ 火星でヒーロー会社に勤めるアイリーンだったが、ヘマをして地球に左遷される。そこで出会ったのは、高卒無職でヒーローごっこをしているラブリーメロンだった。…

岡本喜八『大誘拐 RAINBOW KIDS』(1991/日)

大誘拐 RAINBOW KIDS 北林谷栄 Amazon ★★ 和歌山県。戸並健次(風間トオル)、秋葉正義(内田勝康)、三宅平太(西川弘志)の3人が、地元の大富豪・柳川とし子(北林谷栄)を誘拐する。当初は身代金を5000万円要求するつもりだったが、人質のとし子が100億円…

レオ・マッケリー『我が道を往く』(1944/米)

我が道を往く(字幕版) ビング・クロスビー Amazon ★★★ ニューヨークの古い教会に若き神父オマリー(ビング・クロスビー)が赴任してくる。その教会は老神父フィッツギボン(バリー・フィッツジェラルド)が建設に尽力し、以降45年間守ってきた。教会はいま…

ジャック・ロンドン『赤死病』(1907,1910)

赤死病 (白水Uブックス) 作者:ジャック・ロンドン 白水社 Amazon ★★★★ 日本オリジナル編集の中短編集。「赤死病」、「比類なき侵略」、「人間の漂流」の3編。 『疫病の前はお前の時代だった』と、やつは言った。『が、今は俺の時代で、べらぼうにいい時代っ…

郝景芳『1984年に生まれて』(2016)

1984年に生まれて 作者:郝景芳 中央公論新社 Amazon ★★★★ 1984年に生まれた軽雲だったが、大学卒業後に国を出るかどうかで思い悩む。一方、軽雲が生まれた当時、父は友人と商売に手を染めてトラブルに巻き込まれる。以降、外国を転々とする生活を送るの…