海外文学読書録

書評と感想

J・J・エイブラムス『ミッション:インポッシブル3』(2006/米)

★★

IMFのイーサン・ハント(トム・クルーズ)は現場から教官職に移り、婚約者ジュリア(ミシェル・モナハン)には交通局で仕事をしていると嘘をついていた。そんなあるとき、かつての教え子リンジーケリー・ラッセル)が、潜入先のベルリンで兵器ブローカーのディヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマン)に捕まってしまう。IMFはイーサンたちを派遣してリンジーを救出させるが……。

『ミッション:インポッシブル2』の続編。

ノンストップアクションだった前作に比べると、本作はいささか高級すぎて退屈だった。僕がアクション映画に求めているのはテーマパークのような面白さだ。つまり、スリリングなアトラクションを求めている。そういう意味では、本作は地味で物足りない。バチカンでの誘拐作戦や上海での潜入作戦など、本作はアクション映画よりもスパイ映画に寄せている。このシリーズはこれで3作目になるけれど、一番良かったのは2作目だった。

序盤の銃撃戦でイーサンがマシンガンを使っているのは実に正しいことだと思う。ただ、カット割りが細かすぎるうえ、画面を揺らしまくっていて、落ち着いてアクションを堪能できなかった。何かせわしい雰囲気は伝わってくるものの、具体的な細部が分からない。これは最近のアクション映画の駄目な部分を踏襲している。正直、この時点で視聴を中断するか迷った。

一方、橋の上を車で走っていたらミサイルが飛んできて、そこからなし崩し的に戦闘に突入するシーンは良かった。戦闘機はミサイルを撃ち込んでくるし、ヘリに乗った戦闘員がマシンガンを連射してくるしで、この部分は絶望しかない。さすがに地上からマシンガンで戦闘機を撃ち落としたのには笑ったけれど、圧倒的に不利な状況でアクションをしたのは見ものだった。特に寸断された橋を飛び移るところがいい。

あと、終盤で妻のジュリアがイーサンを助ける展開は胸熱だった。その場で銃の撃ち方を教えてもらって敵を倒しているし、さらに仮死状態のイーサンに蘇生措置を施して生き返らせている。一連のシークエンスはなかなかエモい。当初はドラマに時間を割きすぎではないかと思ったけれど、こういう見せ場があったので、あれは正当だったのだと理解した。

それにしても、3Dプリンターで変装用のマスクを作っているのには驚いた。こんな昔からあったとは。さらに、前2作に比べると映像が重厚になっていて、一見したところでは古さを感じない。技術が進歩したのか、現代的な映像になっている。それと、物語のキーになる「ラビットフット」を最後まで正体不明のものとして扱ったのも粋だ。これぞマクガフィンである。