海外文学読書録

書評と感想

ジョン・ウー『ミッション:インポッシブル2』(2000/米)

★★★

製薬会社の研究員が、キメラウィルスとその治療薬ペレロフォンを持って飛行機に乗る。しかし、そこを護衛になりすましたショーン・アンブローズ(ダグレイ・スコット)に強奪されてしまう。IMFはイーサン・ハント(トム・クルーズ)にそれを取り返すよう指令を出す。イーサンは凄腕の泥棒にしてアンブローズの元恋人ナイア・ホール(タンディ・ニュートン)をリクルートし、彼のもとに潜入させる。

『ミッション:インポッシブル』の続編。

前作よりもストーリーがシンプルになり、代わりにアクションが派手になっていた。カーチェイスにガンアクション、バイクアクションに格闘アクションと、とにかくアクションシーンがてんこ盛りになっている。個人的な好みを言えば、アクション映画はこれくらい濃密なほうが好みだ。なるべく脳みそを空っぽにして観たい。その点、前作はストーリーが複雑すぎたし、アクションも一点豪華主義だった。

序盤はイーサンとナイアが肉体関係を結んだので、これは007に寄せたのではないかと危惧したけれど、そこからはだるいロマンスがなかったので、ストレスなく観ることができた。その前にナイアが盗んだブルガリのネックレスを胸の谷間に入れるシーンがあって、僕はそれを見て『ルパン三世』【Amazon】の峰不二子を思い出していたのだ。そういう嫌な予感を払拭してアクションに振り切ったのは良かった。

アクションシーンは見た目の派手さを重視していて、ほとんどが合理性に欠けている。二丁拳銃で撃ち合うのはどう考えても非効率的だし、倒れた敵に向かって胴回し回転蹴りを食らわせるのも無意味である。前者はリアルでやったら的に当たらないし、後者は踵で踏みつけたほうが確実にダメージを与えられる。この部分でもっとも気になったのが、サブマシンガン相手に拳銃で応戦するシーン。なぜか撃ち勝ってしまうところが意味不明だった。しかも、拳銃のほうはバイクを運転しながら、サブマシンガンのほうは車の助手席からの射撃である。このようにリアリティを度外視する姿勢も本作の特徴だろう。こういう映画は、ツッコミを入れながら観るのが正しいのだと思う。

ところで、このシリーズは監督の作家性を存分に出していく方針なのだろうか。ジョン・ウーが監督を務める本作では、スローモーション、ハト、格闘アクションと、お決まりの要素が出てきた。

アクションシーンで一番良かったのが、序盤のロッククライミング。あそこは手に汗握る緊張感があった。荒野のロケーションも素晴らしい。