海外文学読書録

書評と感想

山川吉樹『ハイスコアガール』(2018-2019)

★★★★

1991年。小学6年生の矢口春雄は大のゲーム好きで、特に格闘ゲームをプレイするのを好んでいた。その彼がゲーセンでクラスメートの大野晶と出会い、『ストリートファイターII』で対戦するも惨敗する。大野はゲーセンとは無縁そうに見える金持ちのお嬢様だった。以降、2人の関係は高校生まで続いていく。

90年代のゲーム文化と甘酸っぱいラブコメを両立させた上質のエンターテイメントだった。カプコンSNKの格ゲーにはまっていたおっさん世代だったら本作を見て懐かしく思うだろうし、若い世代にとっても当時の熱狂を見て何か感じる部分があるだろう。だいたいアニメ好きはゲームも好きだからね。自分が産まれる前の文化はたいてい興味深いものだ。何よりゲームが肯定的に描かれているところが素晴らしくて、春雄みたいにゲームに青春を賭けるのも悪くないなって思う。何かに打ち込む姿はとても格好いい。これはある意味でおたく礼賛アニメと言えるのではないか。ゲームやアニメはとかく世間から否定されがちだけど、そういった雑音に負けず、好きなものを好きって認めて楽しむのは最高にクールだ。一度しかない人生、どうせなら他人の目を気にせず好きなことに熱中したい。じゃなきゃ生きている意味がないよ。

本作はラブコメとしてもよく出来ていて、春雄をめぐる三角関係は見ていてキュンキュンしてしまう。春雄は大野と日高、2人の女から好かれるのだけど、この状況がまたせつないのだ。だって春雄と結ばれるのは1人だけって決まっているから。もう1人の恋は絶対に実らない。初めから敗れることが約束されている。そして、こういうドラマはシーソーみたいにあちらそちらに傾いていくのがいいのだ。今回は大野のターン、次回は日高のターンって具合にね。本作はこのようなラブコメを90年代のゲーム文化と上手く絡めていて、趣味にしても恋愛にしても、好きというのは最高の感情なのだということに気づかせてくれる。

本作は日本の一時代を鮮やかに切り取っているので、当時の風俗に興味がある人は絶対に見るべきである。いずれこのアニメは平成を振り返る際の重要な資料になるだろう。

以下、おまけ。Twitterで各話ごとの感想を呟いたので貼っておく。