海外文学読書録

書評と感想

大江健三郎『死者の奢り・飼育』(1959)

★★★★

短編集。「死者の奢り」、「他人の足」、「飼育」、「人間の羊」、「不意の唖」、「戦いの今日」の6編。

それから急に僕らは、黒人兵が堂々として英雄的で壮大な信じられないほど美しいセクスを持っていることを発見するのだった。僕らは黒人兵の周りで裸の腰をぶつけあいながらはやしたて、黒人兵はそのセクスを握りしめると牡山羊がいどむ時のような剽悍な姿勢をしてわめいた。僕らは涙を流して笑い、黒人兵のセクスに水をぶっかけた。(p.115)

「飼育」で芥川賞を受賞している。

以下、各短編について。

この続きはcodocで購入