海外文学読書録

書評と感想

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ベン・ファウンテン『ビリー・リンの永遠の一日』(2012)

ビリー・リンの永遠の一日 (新潮クレスト・ブックス) 作者:ファウンテン,ベン 新潮社 Amazon ★★★★ イラク戦争。19歳のビリー含む8人のブラボー分隊の兵士たちは、英雄としてテキサスのスタジアムに駆り出されていた。彼らはフットボールの試合で、芸能人たち…

ジェニファー・イーガン『ならずものがやってくる』(2010)

ならずものがやってくる (ハヤカワepi文庫) 作者:ジェニファー・イーガン,Jennifer Egan 早川書房 Amazon ★★★★ 盗癖を治すべく精神科医にかかっているサーシャは、かつて有名音楽プロデューサーであるベニーのもとで働いていた。ベニーは元パンクロッカーで…

ポール・オースター『冬の日誌』(2012)

冬の日誌 作者:ポール・オースター 新潮社 Amazon ★★★ 自伝。主に肉体の出来事を軸に、時系列を錯綜させながら語っていく。野球に熱中した少年時代、女の子に熱をあげた思春期、生まれてから現在までの住所遍歴、母親の死、自分の結婚など。 自分はそんなふ…

イアン・マキューアン『ソーラー』(2010)

ソーラー (新潮クレスト・ブックス) 作者:イアン マキューアン 新潮社 Amazon ★★★ ノーベル賞を受賞した科学者マイケル・ビアードは、これまで4回離婚し、現在の妻と結婚してからは11回浮気していた。その彼が様々なトラブルに見舞われつつ、同僚が残した新…

マーティン・エイミス『時の矢』(1991)

Time's Arrow or the Nature of the Offence 作者:Amis, Martin Penguin Books Ltd Amazon ★★ アメリカ。「私」ことトード・フレンドリーは医師に囲まれ蘇生処置を受けている。ここから「私」は時間を逆回しにしてトードの人生を語っていく。彼は一見すると…

ヒラリー・マンテル『罪人を召し出せ』(2012)

罪人を召し出せ 作者:ヒラリー マンテル 早川書房 Amazon ★★★★ 1535年秋。イングランド王ヘンリー8世はアン・ブーリンと再婚するも、彼女が妊娠している間に女官のジェーン・シーモアに愛情を抱くようになる。そんななか、秘書官のトマス・クロムウェルはア…