海外文学読書録

書評と感想

橋本裕之『ご注文はうさぎですか?BLOOM』(2020)

★★★★

ハロウィンの季節。チノ(水瀬いのり)を始めとするチマメ隊は、高校進学のために学校見学をすることに。一方、高校生組のリゼ(種田梨沙)は卒業を控えていた。他にも、ココア(佐倉綾音)、千夜(佐藤聡美)、シャロ(内田真礼)など、変化の予感をたたえながらクリスマスを迎える。

原作はKoiの漫画『ご注文はうさぎですか?』【Amazon】。

シリーズ3期目。このアニメは1期ごとに制作会社が変わっているにもかかわらず、作画の質を高いレベルでキープしているところは特筆すべきだと思う。相変わらず洋風の町並みは美しいし、キャラクターは可愛らしい。本作については、好きな場面をスクショしてクラウドに保存している。

何となくサザエさん時空で話が進んでると思っていたけれど、しかし、作中ではしっかり時間が経過していて、卒業と進学が話題に上っているのは意外だった。基本的には1話完結式の物語ではあるものの、底流にはこの「変化」が横たわっていて、ちょっぴりせつない気分になってしまう。しかも、本作のすごいところは、1話ごとのまとめ方も上手いところだ。レギュラーキャラクター全員に見せ場を作りながらも、最後はエモーショナルなオチで締めてくる。1話ごとの個別の話としても面白いし、全12話を通したまとまりとしても面白い。総じてイベントとキャラクターの組み合わせが神がかっていた。

本作がそこらの日常ものと違うのは、魔法がかかったような空間を舞台にしているところだ。チノの祖父はなぜかアンゴラうさぎに転生しているし、町並みは洋風でセンスがいいし、舞台そのものに魅力がある。しかもそれだけではなく、キャラクターの配置も周到だ。ココアとチノの擬似的な姉妹関係を基調としながらも、高校生組の横の関係、下にいるマスコット的なチマメ隊、さらにその外にいる大人たちなど、人間関係が縦横に広がっている。一人一人のキャラが立っているうえ、彼女たちの掛け合いが相乗効果をなしているのだ。登場人物の性格づけと関係性が完璧なら、キャラデザも作画も完璧で、まったくもって隙がない。現在のところ、本作が日常アニメの最高峰だと思う。

ココアがチノを妹として庇護したいのは、実の姉モカに憧れているからである。ココアはモカになりたいのだ。さらに、ココアとチノの絆は直接的な関係だけに留まらず、双方の母親が親友同士だったという縁がある。チノの母親は既にこの世になく、思い出の中にしか存在しない。だからこそせつないし、その思い出が尊いものに思える。チノは母親への追憶を胸にしまいながらも、「姉」であるココアと親交を結び、新たに楽しい思い出を作っていく。このサイクルが本作の核になっていて、名作とは揺るがないエモーションを備えているのだなと感心する。

というわけで、全体的にレベルが高かった。

以下、おまけ。Twitterで各話ごとの感想をつぶやいたので貼っておく。