海外文学読書録

書評と感想

三池崇史『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(2017/日)

★★

海辺の町・杜王町に高校2年生の広瀬康一神木隆之介)が引っ越してくる。彼は同級生のジョジョこと東方仗助(山﨑賢人)と知り合い、さらにクラスメイトの山岸由花子小松菜奈)をお目付け役に任命される。一方、仗助は血縁の空条承太郎伊勢谷友介)と会い、自分の超能力がスタンドと呼ばれているのを知る。町では若い男がスタンド能力者を作るべく弓と矢で次々と人を射抜いていた。そのなかに前科者の片桐安十郎(山田孝之)がいて……。

原作は荒木飛呂彦の同名漫画【Amazon】。

怖いもの見たさでつい視聴したが、意外とマシというか、まあまあ頑張ってるほうだった。原作がかなり特異なビジュアルなので、実写化に向いてないことは分かっていたし、大して期待もしてなかった。どうせ駄作だろうと高を括っていた。そんな風に最初からハードルが下がっていたので、映画は映画なりに健闘しているように感じた。

仗助や承太郎など、漫画的な外見をした人物が背景からあまり浮いてないところに驚いた。ぱっと見コスプレ感はあるのだが、動いている様子にさほど違和感はない。こういう世界観で物語が動いているのだとすんなり入ってくる。これはロケ地が海外であることと関係しているのだろう。また、戦闘シーンもなかなかよくできていて、スタンドのCGやエフェクトは一見の価値がある。スタープラチナの時止めやクレイジー・ダイヤモンドのドラドララッシュは感動的だった。

ただ、全体的にテンポが悪く、話を詰め込んでる割には展開がだるかった。これは実写の性質上そう感じるのか、それとも本作だけ特別だるいのか。アニメ版【Amazon】を見たときはさくさく進んでいると感じたので、なおさらテンポの悪さが気になった。

映画オリジナル部分では、原作ファン向けに伏線を貼っているところが目を引いた。康一くんの部屋には岸辺露伴の漫画が並べてあるし、仗助の祖父(國村隼)は杉本鈴美の事件を報じた新聞記事をスクラップしている。また、仗助の母(観月ありさ)はトニオ・トラサルディーの店に息子を誘おうとしていた。これが続編に生かされるかどうかは分からないが、原作をいかにカットするかで腐心しているなか、ファンにくすぐりを感じさせる要素ではあった。

この第一章のキーワードは「家族」になるだろう。片桐安十郎が最初に殺したのは自分の父親だし、仗助は片桐に愛する祖父を殺されている。虹村形兆岡田将生)は化物になった父親を殺したがっていたものの、一方で父親は正気を失いながらも家族の写真を探していた。そして、形兆は土壇場で弟の億泰(新田真剣佑)を庇って死んでいる。このように本作は家族の愛憎がモチーフになっていて、映画としては収まりのいい内容になっている。

それにしても、山岸由花子役の小松菜奈が可愛い。僕もあんな娘に付きまとわれたい人生だった。といっても、彼女は典型的なBPDだが……。