海外文学読書録

書評と感想

★★★★☆

ジョン・シュレシンジャー『真夜中のカーボーイ』(1969/米)

真夜中のカーボーイ ダスティン・ホフマン Amazon ★★★★ カウボーイの格好をしたジョー(ジョン・ヴォイト)がテキサスからニューヨークにやってくる。彼は自身の性的魅力で女を引っ掛け、女から金を得ることで生活するつもりだった。ところが、その目論見も…

フランソワ・トリュフォー『恋のエチュード』(1971/仏)

恋のエチュード (字幕版) ジャン=ピエール・レオ Amazon ★★★★ 19世紀末のパリ。母親の元で暮らす青年クロード(ジャン=ピエール・レオ)の元にブラウン家の娘アン(キカ・マーカム)がやってくる。アンは夏の休暇にイギリスに来るようクロードを誘うのだっ…

ビリー・ワイルダー『お熱いのがお好き』(1959/米)

お熱いのがお好き マリリン・モンロー Amazon ★★★★ 禁酒法時代のシカゴ。楽団員のジョー(トニー・カーティス)とジェリー(ジャック・レモン)がギャングの殺人を目撃する。そのせいで追われることになった。2人は女装し、フロリダへ向かう女性楽団に潜り込…

シドニー・ルメット『十二人の怒れる男』(1957/米)

十二人の怒れる男 ヘンリー・フォンダ Amazon ★★★★ 裁判所。被告はスラム街の少年で父殺しの罪に問われている。法廷での審議が終わって12人の陪審員が議論することに。証拠と証言から少年が不利だった。全会一致で有罪になると思いきや、陪審員8番(ヘンリー…

フランソワ・トリュフォー『柔らかい肌』(1964/仏)

柔らかい肌 (字幕版) ジャン・ドザイ Amazon ★★★★ 高名な評論家ピエール・ラシュネー(ジャン・ドザイ)が講演のため飛行機でリスボンへ。搭乗時間ギリギリで間に合った。そこでスチュワーデスをしているニコル・ショメット(フランソワーズ・ドルレアック)…

ウディ・アレン『マンハッタン』(1979/米)

マンハッタン ウディ・アレン Amazon ★★★★ テレビライターのアイザック(ウディ・アレン)は42歳。彼は17歳のトレーシー(マリエル・ヘミングウェイ)と付き合っている。また、アイザックの友達エール(マイケル・マーフィー)には妻がいるものの、編集者の…

ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンズ『ウエスト・サイド物語』(1961/米)

ウエスト・サイド物語 (日本語字幕版) Natalie Wood Amazon ★★★★ マンハッタン。当地では2つの不良少年団が対立していた。1つはポーランド系アメリカ人のジェット団。もう1つはプエルトリコ系アメリカ人のシャーク団。ジェット団のボスはリフ(ラス・タンブ…

セルジオ・レオーネ『夕陽のガンマン』(1965/伊=独=スペイン)

夕陽のガンマン クリント・イーストウッド Amazon ★★★★ 服役中の悪党インディオ(ジャン・マリア・ヴォロンテ)が仲間の助けを借りて脱獄する。賞金稼ぎのモンコ(クリント・イーストウッド)と同じく賞金稼ぎのモーティマー大佐(リー・ヴァン・クリーフ)…

ウディ・アレン『インテリア』(1978/米)

インテリア クリスティン・グリフィス Amazon ★★★★ 実業家アーサー(E・G・マーシャル)とインテリア・デザイナーのイヴ(ジェラルディン・ペイジ)は高齢の夫婦。3人の娘を育て上げた。長女レナータ(ダイアン・キートン)が才能溢れる詩人なのに対し、次女…

ラルフ・ネルソン『野のユリ』(1963/米)

野のユリ シドニー・ポワチエ Amazon ★★★★ アリゾナ。車で放浪しているホーマー・スミス(シドニー・ポワチエ)が5人の修道女と出会う。彼女たちはドイツ系で、東側からベルリンの壁を超えて移民してきた。マザー・マリア(リリア・スカラ)はホーマーのこと…

スタンリー・クレイマー『手錠のままの脱獄』(1958/米)

手錠のままの脱獄 トニー・カーティス Amazon ★★★★ 囚人護送車が転落事故を起こす。どさくさに紛れて2人の囚人が逃げた。白人のジャクソン(トニー・カーティス)と黒人のカレン(シドニー・ポワチエ)。2人は鎖のついた手錠で繋がれている。当初は反目して…

フィリップ・ド・ブロカ『リオの男』(1964/仏=伊)

リオの男(字幕版) ジャン=ポール・ベルモンド Amazon ★★★★ 航空兵アドリアン(ジャン=ポール・ベルモンド)が休暇でパリに帰ってくる。パリには婚約者のアニェス(フランソワーズ・ドルレアック)がいた。同じ頃、博物館でアマゾンの土像が盗まれる。そ…

アキ・カウリスマキ『マッチ工場の少女』(1990/フィンランド)

マッチ工場の少女 (字幕版) カティ・オウティネン Amazon ★★★★ マッチ工場に勤めるイリス(カティ・オウティネン)は、自分の収入で義父(エスコ・ニッカリ)と母(エリナ・サロ)を養っていた。それだけでなく、彼女は家事もやらされている。ある日、ショー…

アキ・カウリスマキ『パラダイスの夕暮れ』(1986/フィンランド)

パラダイスの夕暮れ (字幕版) マッティ・ペロンパー Amazon ★★★★ ヘルシンキ。ゴミ収集人のニカンデル(マッティ・ペロンパー)が、スーパーでレジをしているイロナ(カティ・オウティネン)と知り合う。2人は友達とも恋人ともつかない微妙な関係になるのだ…

フィリップ・ド・ブロカ『まぼろしの市街戦』(1966/仏=伊)

まぼろしの市街戦(字幕版) アラン・ベイツ Amazon ★★★★ 第一次世界大戦。フランスの小さな町からドイツ軍が撤退することになった。その際、町に爆弾を仕掛けてイギリス軍を壊滅させようとする。イギリス軍はプランピック二等兵(アラン・ベイツ)に爆弾の解…

『ブラザーズ・クエイ短編集Ⅲ』(1990/英=仏,1991/英,2000/英,2003/英)

ブラザーズ・クエイ短編集 Ⅲ (字幕版) Amazon ★★★★ 短編集。「櫛(眠りの博物館から)」、「人為的な透視図法、またはアナモルフォーシス(歪像)」、「不在」、「ファントム・ミュージアム―ヘンリー・ウェルカム卿の医学コレクション保管庫への気儘な侵入」…

『ブラザーズ・クエイ短編集Ⅱ』(1986/米,1987/英,1988/英=加=米,1992/英,1993/英,1994/英)

ブラザーズ・クエイ短編集 Ⅱ (字幕版) Amazon ★★★★ 短編集。「ストリート・オブ・クロコダイル」、「失われた解剖模型のリハーサル」、「スティル・ナハト―寸劇」、「スティル・ナハト2―私たちはまだ結婚しているのか?」、「スティル・ナハト3―ウィーンの深…

『ブラザーズ・クエイ短編集Ⅰ』(1979/英,1984/英,1985/英)

ブラザーズ・クエイ短編集 Ⅰ (字幕版) Amazon ★★★★ 短編集。「人工の夜景」、「ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋」、「ギルガメッシュ叙事詩を大幅に偽装して縮小した、フナー・ラウスの局長のちょっとした歌、またはこの名付け難い小さなほうき」の3編。 …

パット・バーカー『女たちの沈黙』(2018)

女たちの沈黙 作者:パット バーカー 早川書房 Amazon ★★★★ トロイア戦争末期。リュルネソスの王妃ブリセイスがアキレウスの奴隷になる。アキレウスはブリセイスのことを戦利品としか見ていなかったが、彼の親友パトロクロスはブリセイスにやさしくしてくれた…

『ユーリー・ノルシュテイン傑作選』(1968/ソ連,1971/ソ連,1973/ソ連,1974/ソ連,1975/ソ連,1979/ソ連)

ユーリー・ノルシュテイン傑作選 (字幕版) Amazon ★★★★ 短編集。「25日・最初の日」、「ケルジェネツの戦い」、「キツネとウサギ」、「アオサギとツル」、「霧の中のハリネズミ」、「話の話」の6編。 ユーリー・ノルシュテイン監督の切り絵アニメーション。…

ルキノ・ヴィスコンティ『揺れる大地』(1948/伊)

揺れる大地 デジタル修復版 (字幕版) アントニオ・アルチディアコノ Amazon ★★★★ シチリアの漁村アーチ・トレッツァ。ヴァラストロ家の長男ウントーニ(アントニオ・アルチディアコノ)は漁師をしていたが、仲買人に搾取されていると思い込み、年寄りの忠告…

ジェスミン・ウォード『線が血を流すところ』(2008)

線が血を流すところ 作者:ジェスミン・ウォード 作品社 Amazon ★★★★ ミシシッピ州の架空の街ボア・ソバージュ。クリストフとジョシュアは双子の兄弟で、母方の祖母マーミーに育てられていた。母親シルは都会に出稼ぎに出ている。また、父親サンドマンはジャ…

リチャード・パワーズ『惑う星』(2021)

惑う星 作者:リチャード・パワーズ 新潮社 Amazon ★★★★ 宇宙生物学者のシーオは妻アリッサを事故で亡くし、今は9歳の息子ロビンと2人で暮らしている。ロビンは感受性の強い少年だったが、学校では問題児だった。精神科の診断では自閉症やADHDの疑いが出てい…

大森一樹『ヒポクラテスたち』(1980/日)

ヒポクラテスたち 古尾谷雅人 Amazon ★★★★ 洛北医科大学の6回生・荻野愛作(古尾谷雅人)は大学の寮に住んでいた。彼は最終学年でありながら未だに進路を決めていない。そんななか、恋人・中原順子(真喜志きさ子)を妊娠させてしまった。仕方なく場末の産婦…

フー・ボー『象は静かに座っている』(2018/中国)

象は静かに座っている(字幕版) ポン・ユーチャン Amazon ★★★★ 満州里のサーカスには一日中座っているだけの象がいるという。中国の寂れた田舎町。高校生のブー(ポン・ユーチャン)は友達を庇って不良を階段から突き落としてしまった。不良の兄チェン(チ…

川島雄三『銀座二十四帖』(1955/日)

銀座二十四帖 月丘夢路 Amazon ★★★★ 京極和歌子(月丘夢路)は少女時代に奉天で流浪の学生に肖像画を描いてもらっていた。彼の記憶はおぼろげで、肖像画にはGMと署名してある。和歌子はGMと再会したがっていた。一方、花屋のコニイ(三橋達也)はその件につ…

サマセット・モーム『片隅の人生』(1932)

片隅の人生 (ちくま文庫) 作者:W.サマセット モーム 筑摩書房 Amazon ★★★★ 眼科のサンダース医師は福州の中国人に人気があった。その彼が中国人富豪の手術のためマレー半島のタカナ島に赴く。手術は成功し、島で退屈していたところ、ニコルズ船長とフレッド…

新海誠『君の名は。』(2016/日)

君の名は。 神木隆之介 Amazon ★★★★ 17歳の男子高校生・立花瀧(神木隆之介)は東京の四ツ谷で暮らしていた。一方、17歳の女子高校生・宮水三葉(上白石萌音)は飛騨地方の糸守町で暮らしている。そんな2人がどういう因果かたびたび入れ替わることに。当初は…

樋口真嗣『シン・ウルトラマン』(2022/日)

シン・ウルトラマン 斎藤工 Amazon ★★★★ 日本では「禍威獣(カイジュウ)」という巨大生物が出現して各所を荒らし回っていた。政府は禍特対(カトクタイ)を設立して対策に当たる。ある日、何番目かの禍威獣が現れたとき、謎の巨人がそれを倒して飛び去った…

マルキ・ド・サド『恋のかけひき』

恋のかけひき (角川文庫) 作者:マルキ・ド・サド,澁澤 龍彦 KADOKAWA Amazon ★★★★ 日本オリジナル編集の短編集。「ファクスランジュ あるいは 野心の扉」、「ロドリグ あるいは 呪縛の塔」、「オーギュスティヌ・ドヴィルブランシュ あるいは 恋のかけひき」…