海外文学読書録

書評と感想

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

リチャード・パワーズ『惑う星』(2021)

惑う星 作者:リチャード・パワーズ 新潮社 Amazon ★★★★ 宇宙生物学者のシーオは妻アリッサを事故で亡くし、今は9歳の息子ロビンと2人で暮らしている。ロビンは感受性の強い少年だったが、学校では問題児だった。精神科の診断では自閉症やADHDの疑いが出てい…

早川千絵『PLAN 75』(2022/日=仏=フィリピン=カタール)

PLAN75 倍賞千恵子 Amazon ★★★ 国会で「PLAN 75」が可決、75歳以上は自発的に自死を選択できるようになった。78歳の角谷ミチ(倍賞千恵子)はホテルの清掃員をしていたが、高齢のために解雇される。身寄りのない彼女は「PLAN 75」を申請することに。また、市…

ジュリオ・ペトローニ『暁のガンマン』(1968/伊)

暁のガンマン (字幕版) ジュリアーノ・ジェンマ Amazon ★★★ 流れ者の青年ティム(ジュリアーノ・ジェンマ)と巨漢のハリー(マリオ・アドルフ)が酒場で意気投合する。ハリーはティムの勧めで銀行に金を預けるも、それは大掛かりな詐欺だった。逃亡したティ…

大森一樹『ヒポクラテスたち』(1980/日)

ヒポクラテスたち 古尾谷雅人 Amazon ★★★★ 洛北医科大学の6回生・荻野愛作(古尾谷雅人)は大学の寮に住んでいた。彼は最終学年でありながら未だに進路を決めていない。そんななか、恋人・中原順子(真喜志きさ子)を妊娠させてしまった。仕方なく場末の産婦…

マウリツィオ・ルチーディ『復讐の用心棒』(1967/伊)

復讐の用心棒 (字幕版) ロバート・ウッド Amazon ★★★ ヒューストンにメキシコ人のペコス(ロバート・ウッド)が流れ着く。ペコスは凄腕のガンマンだった。一方、町には無法者のクライン(ノーマン・クラーク)が部下たちを引き連れそこら中を荒らし回ってい…

熊井啓『サンダカン八番娼館 望郷』(1974/日)

サンダカン八番娼館 望郷 栗原小巻 Amazon ★★ ボルネオの港町サンダカン。そこの日本人街には娼館があり、日本から少女たちが「からゆきさん」として売られていた。女性史研究家の三谷圭子(栗原小巻)が天草で元からゆきさんの老婆・北川サキ(田中絹代)と…

スティーヴン・キング『ザ・スタンド』(1978,1990)

ザ・スタンド(1) (文春文庫) 作者:スティーヴン・キング 文藝春秋 Amazon ★★★ 1990年のアメリカ。軍施設から兵器用のインフルエンザ・ウイルスが流出し、アメリカで大流行することになった。それによって人口のおよそ9割が死ぬ。生き残った者たちは夢に出…

『ドイツ1983年』(2015)

東西冷戦のはざまで Amazon ★★★ 1983年。東ドイツの秘密諜報機関が、国家人民軍の兵士マーティン・ラオホ(ヨナス・ナイ)を西ドイツへ送り込む。マーティンは将軍の副官モーリッツ・シュタムになりすまして情報収集をする。NATOは西ドイツにミサイルを配備…