海外文学読書録

書評と感想

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ダグラス・スチュアート『シャギー・ベイン』(2020)

シャギー・ベイン 作者:ダグラス スチュアート 早川書房 Amazon ★★★ 1980年代のグラスゴー。少年シャギーにはアグネスという美人の母親がおり、姉・兄・祖父母とともに貧困生活を送っていた。アグネスは美人であるものの薄幸で、ろくでもない男に捨てられて…

ルシア・ベルリン『すべての月、すべての年』(2015)

すべての月、すべての年 ルシア・ベルリン作品集 作者:ルシアベルリン 講談社 Amazon ★★★★ 短編集。「虎に噛まれて」、「エル・ティム」、「視点」、「緊急救命室ノート、一九七七年」、「失われた時」、「すべての月、すべての年」、「メリーナ」、「友人」…

音井れこ丸『若林くんが寝かせてくれない』(2015-2018)

若林くんが寝かせてくれない : 1 (アクションコミックス) 作者:音井れこ丸 双葉社 Amazon ★★★ 高校教師の須住は睡眠不足に悩まされていた。彼は学校で昼寝をしようとするが、女子生徒の若林が何かとちょっかいをかけてきて寝かせてくれない。若林は須住に好…

トレイ・パーカー『サウスパーク 無修正映画版』(1999/米)

サウスパーク 無修正映画版(字幕版) トレイ・パーカー Amazon ★★★ アメリカ北部の田舎町サウスパーク。スタン(トレイ・パーカー)、カイル(マット・ストーン)、カートマン(トレイ・パーカー)、ケニー(マット・ストーン)がテレンス&フィリップの映画…

ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q―檻の中の女―』(2007)

特捜部Q―檻の中の女― (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:ユッシ・エーズラ・オールスン,吉田奈保子 早川書房 Amazon ★★★ コペンハーゲン警察。カール・マーク警部補は捜査中のミスで一人の部下を失い、一人の部下を寝たきり状態にさせてしまった。署内で厄介者…

トーマス・マン『ヴェネツィアに死す』(1912)

ヴェネツィアに死す (光文社古典新訳文庫) 作者:マン 光文社 Amazon ★★★★ 50歳の作家グスタフ・アッシェンバッハはミュンヘンに在住していた。ある日、彼は逃げ出したいという衝動に駆られて旅に出る。ヴェネツィアにたどり着いたアッシェンバッハは、ホテル…

トーマス・マン『トニオ・クレーガー』(1903)

トニオ・クレーガー (光文社古典新訳文庫) 作者:マン 光文社 Amazon ★★★★ リューベック。大商人の父を持つトニオ・クレーガーは文学が好きで周囲から浮いていた。トニオは級友のハンスに好意を寄せるも、彼とは趣味が合わない。2年後、今度はダンスが縁でイ…

J・M・バリー『ケンジントン公園のピーター・パン』(1906)

ケンジントン公園のピーター・パン (光文社古典新訳文庫) 作者:バリー 光文社 Amazon ★★ ケンジントン公園には蛇形池が合流しており、その遠い彼方には島があった。島ではすべての赤ん坊の元となる鳥が生まれている。ピーター・パンは生まれてから7日目に人…

コレット『青い麦』(1923)

青い麦 (光文社古典新訳文庫) 作者:コレット 光文社 Amazon ★★★★ 16歳のフィリップと15歳のヴァンカは幼馴染のカップル。2人は夏の間、海辺の村でテニスやエビ捕りを楽しんでいた。思春期らしいプラトニックな関係を育むなか、フィリップの前にマダム・ダル…