海外文学読書録

書評と感想

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

レティシア・コロンバニ『三つ編み』(2017)

三つ編み 作者: レティシアコロンバニ,?崎順子,齋藤可津子 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2019/04/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ★★★★ (1) インド。不可触民のスミタは、素手で糞便を汲み取る仕事をしていた。彼女は不条理の連鎖を断…

山田尚子『リズと青い鳥』(2018/日)

リズと青い鳥 種﨑敦美 Amazon ★★★★★ 北宇治高校吹奏楽部。オーボエの鎧塚みぞれ(種﨑敦美)とフルートの傘木希美(東山奈央)は親友同士で、3年生の2人は高校最後のコンクールを控えていた。課題曲は『リズと青い鳥』という出会いと別れの物語をモチーフに…

エミール・ゾラ『獲物の分け前』(1871)

獲物の分け前 (ちくま文庫) 作者:エミール ゾラ 筑摩書房 Amazon ★★★ 南仏から仕事を求めてパリにやってきたアリスティッド・サカールが、兄の紹介で道路管理官の仕事に就く。折しもパリではオスマン計画という都市改造計画が持ち上がっていた。妻と死別した…

イサベル・アジェンデ『エバ・ルーナ』(1987)

エバ・ルーナ (白水Uブックス) 作者:イサベル・アジェンデ 白水社 Amazon ★★★ 独裁政権が支配する南米のどこか。捨て子だった母とインディオの父の間に生まれたエバ・ルーナは、物語を語る才能に恵まれていた。彼女は7歳にして母と身内を亡くし、あちこち遍…

陳浩基『ディオゲネス変奏曲』(2019)

ディオゲネス変奏曲 (ハヤカワ・ミステリ) 作者:陳 浩基 早川書房 Amazon ★★★ 短編集。「藍を見つめる藍」、「サンタクロース殺し」、「頭頂」、「時は金なり」、「習作 一」、「作家デビュー殺人事件」、「沈黙は必要だ」、「今年の大晦日は、ひときわ寒か…

ギ・ド・モーパッサン『ベラミ』(1885)

ベラミ (角川文庫) 作者:モーパッサン,中村 佳子 KADOKAWA Amazon ★★★ パリ。アルジェリアからの帰還兵ジョルジュ・デュロワは、鉄道会社に安月給で雇われていた。そんななか、戦友のフォレスチエと偶然再会し、新聞記者の仕事を紹介してもらう。イケメンの…

郝景芳『郝景芳短篇集』(2016)

郝景芳短篇集 (エクス・リブリス) 作者:郝景芳 白水社 Amazon ★★★ 短編集。「北京 折りたたみの都市」、「弦の調べ」、「繁華を慕って」、「生死のはざま」、「山奥の療養院」、「孤独な病室」、「先延ばし症候群」の7編。 「時々、抵抗ということについてど…

劉震雲『わたしは潘金蓮じゃない』(2012)

わたしは潘金蓮じゃない 作者:震雲, 劉 彩流社 Amazon ★★★ 29歳の子持ち女性・李雪蓮が、裁判員の元を訪れ、偽装離婚していた元夫の秦玉河を訴えたいと申し出る。既に長男のいた李雪蓮は、一人っ子政策に反して2人目を産むべく秦玉河と離婚したが、秦玉河は…

フェルディナント・フォン・シーラッハ『コリーニ事件』(2011)

コリーニ事件 (創元推理文庫) 作者:フェルディナント・フォン・シーラッハ 東京創元社 Amazon ★★★ 2001年5月。元自動車組立工のイタリア人コリーニが、大金持ちの老人ハンス・マイヤーを射殺した。新人弁護士のカスパー・ライネンが彼の弁護を担当するも、コ…

メンヘラの世界~精神障害者を知るための25冊+1~

メンヘラとは、狭義では精神障害者、広義では精神が不安定な困ったちゃんの意味があります。 約20年前に2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)で誕生したネットスラングで、今ではそこかしこでカジュアルに使われています。以下に紹介する南条あやの登場によって、…