海外文学読書録

書評と感想

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

エイモス・チュツオーラ『甲羅男にカブト虫女』(1990)

甲羅男にカブト虫女 作者:エイモス チュツオーラ 筑摩書房 Amazon ★★★★ 短編集。「甲羅男カメのものがたり」、「カメの女房、ヤンリボのものがたり」、「村のまじない医」、「アジャオと跳ねる骨」、「悪をもって、悪に報いるなかれ」、「アカンケとやっかみ…

イアン・マキューアン『憂鬱な10か月』(2016)

憂鬱な10か月 (新潮クレスト・ブックス) 作者:マキューアン,イアン 新潮社 Amazon ★★★★ 胎児の「わたし」が母親の腹の中で外界の様子を探る。どうやら母親のトゥルーディは父親と別れ、彼の弟クロードと愛人関係にあるようだった。しかも、2人は共謀して父親…

リチャード・フラナガン『奥のほそ道』(2013)

奥のほそ道 作者:リチャード・フラナガン 発売日: 2018/05/26 メディア: 単行本 ★★★ 1915年頃にタスマニアで生まれたドリゴ・エヴァンスは、本土の大学で勉強して外科医になり、第二次世界大戦では将官として従軍することになった。ところが、彼は日本軍の捕…

セオドア・ドライサー『アメリカの悲劇』(1925)

アメリカの悲劇(上) (新潮文庫 赤) 作者:シオドア・ドライサー 新潮社 Amazon ★★★ 貧しい伝道師の家庭で育ったクライド・グリフィスは、長じてからカンザスシティでホテルのベルボーイになる。ところが、同僚とドライブに行った帰りに自動車事故を起こして逃…

ウィリアム・シェイクスピア『タイタス・アンドロニカス』(1590?)

シェイクスピア全集 12 タイタス・アンドロニカス (ちくま文庫) 作者:ウィリアム・シェイクスピア 筑摩書房 Amazon ★★★★ ローマ帝国の将軍タイタス・アンドロニカスが、ゴート族との戦争に勝利して首都に凱旋する。彼は捕虜にしたゴート人の女王タモーラの長…

『ギルガメシュ叙事詩』(1200BC?)

ギルガメシュ叙事詩 (ちくま学芸文庫) 筑摩書房 Amazon ★★★ ウルクの王ギルガメシュは暴君として都城に君臨していた。ウルクの住民が神々に彼の非道を訴えると、大地の女神アルルが粘土からエンキドゥというの名の猛者を造り、都城から少し離れた野に解き放…