海外文学読書録

書評と感想

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

イサベル・アジェンデ『日本人の恋びと』(2015)

日本人の恋びと 作者:イサベル・アジェンデ 河出書房新社 Amazon ★★★ モルドバ出身のイリーナが、バークリー郊外にある高齢者用レジデンス・ラークハウスに就職する。そこで裕福な入所者のアルマに気に入られ、彼女の助手をすることに。アルマは若い頃、第二…

ウィリアム・シェイクスピア『ヘンリー六世』(1588-1591?)

ヘンリー六世 シェイクスピア全集 19 (ちくま文庫 し 10-19) 作者:W. シェイクスピア 筑摩書房 Amazon ★★★ 第一部。ヘンリー六世が治めるイングランドは、シャルル皇太子が率いるフランスと戦争をしている。オルレアンでジャンヌ・ダルクがイングランド軍を…

ヤア・ジャシ『奇跡の大地』(2016)

奇跡の大地 作者:ヤア・ジャシ 集英社 Amazon ★★★★ 18世紀のイギリス領ゴールドコースト。ファンティ族の娘エフィアはその美貌から、新しい首長と結婚することになっていた。ところが、母親の思惑でケープコースト城のイギリス人総督の現地妻になる。エフィ…

マリオ・バルガス=リョサ『つつましい英雄』(2013)

つつましい英雄 作者:マリオ バルガス=リョサ 河出書房新社 Amazon ★★★★ (1) ピウラ。運送会社の経営者フェリシト・ヤナケの元に脅迫状が送られてくる。内容は、会社の安全のために月々500ドル払えというものだった。フェリシトは自分のポリシーを守るため、…

マリリン・ロビンソン『ギレアド』(2004)

ギレアド 作者:マリリン・ロビンソン 新教出版社 Amazon ★★★★ アイオワ州ギレアド。牧師のジョン・エイムズは、己の死期を悟って幼い息子へ手紙を書き始める。ジョンは1880年生まれの76歳。手紙には、南北戦争に従軍して片目を失った祖父や、無神論者の兄エ…

エリザベス・ギャスケル『女だけの町』(1853)

女だけの町―クランフォード (岩波文庫 赤 266-1) 作者:ギャスケル 岩波書店 Amazon ★★ イギリスの田舎町クランフォード。そこの上流社会は淑女たちで占められており、男性は退役軍人で年金暮らしのブラウン大尉くらいしかいなかった。語り手のメアリー・スミ…

P・G・ウッドハウス『お呼びだ、ジーヴス』(1953)

お呼びだ、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション) 作者:P.G. ウッドハウス 発売日: 2011/01/01 メディア: 単行本 ★★★ 第二次世界大戦後。ロースター伯爵のビルは、廃屋寸前と化したロースター・アビーを売りたがっていた。一方、巨額の富を持つアメリカ人の…