海外文学読書録

書評と感想

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ウィリアム・シェイクスピア『尺には尺を』(1604)

シェイクスピア全集28 尺には尺を (ちくま文庫) 作者:シェイクスピア,W. 筑摩書房 Amazon ★★★ ウィーン。貴族のアンジェロが公爵の代理に任命される。アンジェロは眠っていた厳しい法律を杓子定規に適用して風紀を正そうとしていた。その煽りを受けて、婚約…

マリリン・ロビンソン『ハウスキーピング』(1980)

ハウスキーピング 作者:マリリン・ロビンソン 河出書房新社 Amazon ★★★ 語り手のルースと妹のルシール。幼い2人は母親ヘレンに連れられてフィンガーボーンにある祖母の家にやってくる。近くには洪水を起こす湖があった。そこでヘレンは子供たちを遺して自殺…

ソーントン・ワイルダー『三月十五日 カエサルの最期』(1948)

三月十五日 カエサルの最期 作者:ソーントン・ワイルダー みすず書房 Amazon ★★★★ 終身独裁官のユリウス・カエサルは、魔性の女クローディアの晩餐会に招待される。当初は出席を断っていたものの、最終的には招待に応じることに。しかし会場に向かう途中、暗…

ボフミル・フラバル『あまりにも騒がしい孤独』(1980)

あまりにも騒がしい孤独 (東欧の想像力 2) 作者:ボフミル・フラバル 松籟社 Amazon ★★★ 語り手のハニチャは35年間、プラハの地下室で故紙や本を潰す仕事をしていた。具体的には、水圧プレスの緑と赤のボタンを押して紙を潰している。ハニチャは職場の本を読…

ミハル・アイヴァス『黄金時代』(2001)

黄金時代 作者:ミハル アイヴァス 河出書房新社 Amazon ★★★ 民俗学者の「私」は大西洋の島に3年ほど滞在していた。島民たちは島に名前をつけておらず、さらには島民自身の名前がコロコロ変わっていく。「私」はそんなへんてこな島について語りつつ、話は脱線…

ウンベルト・エーコ『女王ロアーナ、神秘の炎』(2004)

女王ロアーナ,神秘の炎(上) 作者:ウンベルト・エーコ 岩波書店 Amazon ★★★ 1991年。もうすぐ60歳になる男が病院のベッドで目覚める。彼の名はジャンバッティスタ・ボドーニ(愛称ヤンボ)。ヤンボは事故で記憶喪失になっていた。彼は本を読んだり人から聞い…

ワシーリー・グロスマン『人生と運命』(1980)

人生と運命 1 作者:ワシーリー・グロスマン みすず書房 Amazon ★★★★ 1942年。ソ連軍はスターリングラードでドイツ軍の侵攻を食い止めていた。物理学者のヴィクトルは原子物理学の論文が評価されるも、ひょんなことから政治的危機に陥る。ドイツの捕虜収容所…