海外文学読書録

書評と感想

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

J・M・クッツェー『鉄の時代』(1990)

鉄の時代 (河出文庫) 作者:クッツェー,J.M. 河出書房新社 Amazon ★★★★ アパルトヘイト時代末期のケープタウン。老女の「わたし」はガンが骨まで転移していた。彼女はひょんなことから付近にいたホームレスの男を居候させることになる。さらには、使用人の子…

オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』(1932)

すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫) 作者:オルダス・ハクスリー 光文社 Amazon ★★★ フォード紀元632年。世界では人間が工場で生産され、赤ん坊の頃から階級が固定していた。支配階級のバーナードは、生まれつきのコンプレックスから周囲とは浮いた行動を…

閻連科『丁庄の夢』(2005)

丁庄の夢 作者:閻連科 河出書房新社 Amazon ★★★ 丁庄の村は売血によってエイズが蔓延していた。もともと売血は政府の主導によるものだったが、村の有力者が私的に商売したのが原因でエイズが流行することになる。村人たちは熱病に苦しみながら新薬の到来を待…

ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』(1957)

オン・ザ・ロード (河出文庫) 作者: ジャック・ケルアック,青山南 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2010/06/04 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 72回 この商品を含むブログ (56件) を見る オン・ザ・ロード (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-1)…

賈平凹『老生』(2014)

老生 作者:賈 平凹 中央公論新社 Amazon ★★★ (1) 国共内戦。父を亡くして孤児になった老黒が、地元の有力者に引き取られる。彼は共産党員の従兄と再会し、挙兵計画に参加する。(2) 土地改革。村では地主から貧農まで階級が設定され、村人たちはそれぞれ境遇…

スティーヴ・エリクソン『ルビコン・ビーチ』(1986)

ルビコン・ビーチ (ちくま文庫) 作者:エリクソン,スティーヴ 筑摩書房 Amazon ★★★★ (1) 刑務所から仮釈放されたケールは、図書館で働くことになった。ある日、彼は女が男の首をナイフで切断するところを目撃する。(2) 南米のジャングルで生まれたキャサリン…