海外文学読書録

書評と感想

2017年に読んだ266冊から星5の12冊を紹介

このブログでは原則的に海外文学しか扱ってないが、実は日本文学やノンフィクションも陰でそこそこ読んでおり、それらを読書メーターに登録している。 今回、2017年に読んだすべての本から、最高点(星5)を付けた本をピックアップすることにした。読書の参考にしてもらえれば幸いである。

評価の目安は以下の通り。

  • ★★★★★---超面白い
  • ★★★★---面白い
  • ★★★---普通
  • ★★---厳しい
  • ★---超厳しい

 

翻訳家の柴田元幸が「21世紀に書かれた最高のアメリカ小説」と評していたが、これは僕もまったく同感。文学史に間違いなく残る傑作である。奴隷制度下のアメリカ南部を舞台にした小説で、善悪が並立する世界をありのままに叙述している。善を称揚するのでもなければ悪を非難するのでもなく、ただストイックに世界を構築しているところにすごみがある。

pulp-literature.hatenablog.com

 

世界貿易センターで綱渡りをしたフィリップ・プティを中心に、地上で暮らす人々の営みを順番に描いていき、彼らのエピソードが思わぬところで繋がることで、世界は回っているのだと示している。構成が素晴らしい。現代文学の一つの達成を見ることができる。

pulp-literature.hatenablog.com

 

池上彰は似たような本を粗製濫造しているようなイメージがあるが、森達也と対談した本書はマスコミの問題に鋭く斬り込んでいて読み応えがある。特に西山事件とウォーターゲート事件の違いについて指摘したくだりにははっとした。池上彰の本は、講義録や対談に良書が多いような気がする。現代史や時事問題を解説した本よりも、こういう掘り下げた本をもっと書いてほしい。

この続きはcodocで購入